チープカシオがバズっている。「その言葉が理解できない」という方と「現象が理解できない」という方、どちらもぜひこのコラムをお読みいただきたい。新しい商品マーケティングのヒントがここにある。
バズっているというのはインターネットやソーシャルネットワーク上で「話題になっている」という意味で、冒頭の一文は、今、話題になっているのがチープカシオという商品だという話である。
チープカシオは、量販店の店頭で1000円から3000円ぐらいで購入できるカシオの腕時計に対してネットユーザーがつけた愛称だ。
とにかくこの安い腕時計が、特に宣伝をしていないにもかかわらず売れに売れている。宣伝をせずに売れるというのは企業にとっては非常に嬉しい状態だ。なぜそんな現象が起きているのだろう?3つのキーワードで秘密を読み解いていきたい。
G-Shockの成功の影で
チープカシオの品質も向上
ネット上でチープカシオがバズりだした(つまり話題になりだした)ひとつのきっかけと思われる投稿は、20年前に購入した安物のカシオのデジタル腕時計が、庭に出しっぱなしになっていたのを発見したところ、まだ動いていたというものだ。
ここでの最初のキーワードは「エクストリーム」とでも言おうか。つまり極端なニュースということである。カシオのG-Shockというブランド商品がその耐久性の強さで知られているのはわかるのだが、そのブランド品質ではない普通に1000円で売っているウレタンベルトのカシオの液晶デジタル時計がG-Shock並み、いやそれ以上の耐久性を持っているという話には、つい誰かに話したくなる情報性がある。
誰かに伝えたくなるような情報性というのはすなわちエクストリームな情報だ。1000円で売られているカシオの腕時計が実はものすごい耐久性があるんだなんて、そっと誰かに話してみたい秘密そのものではないか。
しかもおそらくその情報はガセではない。筆者にも心当たりがあるのだ。