ダイヤモンド社のビジネス情報サイト
莫邦富の中国ビジネスおどろき新発見

スイスの時計に押される中国市場で健闘
売り上げを伸ばすシチズンの地道な努力

莫 邦富 [作家・ジャーナリスト]
【第108回】 2012年6月14日
著者・コラム紹介バックナンバー
1
nextpage

 今は、時計がなくても困らない時代だ。誰もが持っている携帯電話は、きちんと時計の機能を備えている。パソコンにも時間がいつも表示されている。その気になれば、デジタルカメラでも時間が確認できる。

中国ではスイスの時計が
巻き返しに成功

 このような時代だから、伝統産業と言われても仕方ない時計業界は苦戦しているはずだ。しかし意外なことに、中国の主な繁華街を歩いてみると、やたらと時計の広告が目につく。関係者の話によれば、上海一の繁華街・南京路の大きな広告板の大半が時計の広告だ。北京の王府井でも同様の傾向が確認されている、という。たしかに南京路や王府井を散策したとき、そのような印象を持った。

 そうは言っても、これらの時計の広告のほとんどはスイスの時計の広告だ。日本が主導するクォーツ式時計が全盛時代を迎えることにより、スイス主導の機械式時計は苦戦を強いられていた。だが、近年、巻き返しに成功し、高級ブランドのイメージを再構築して、中国では不動の人気を得ている。所得向上により高級品志向が強まった中国では、腕時計は男性のステイタスシンボルと見られ、人気商品の一つに数えられている。

 一時、中国で広く認知されたはずの日系時計ブランドは、隅っこに追いやられた感すらする昨今だ。機械式の復権と日本メーカーの凋落が囁かれるなか、偶然、日本の時計メーカーの関係者から、シチズンが売れているという話を聞いた。にわかに信じられない話だと思って、ひそかに調べてみた。

 そこで意外な発見があった。たしかに一部の家電量販店ではシチズンの時計の売れ行きが上位に出ている。ますます摩訶不思議に思った。さらに調査してみると、意外な発見が続々と出てきた。たとえば、上海の主要地下鉄駅では結構、壁一面を覆うかのようにシチズンの広告がその存在感を誇っている。中国版SNSの微博で、シチズンが開いたページをチェックしてみると、その「粉糸」つまりフォロワー数は他の日系時計メーカーを突き放してしまうほど遙かに多い。

1
nextpage
関連記事
スペシャル・インフォメーションPR
クチコミ・コメント

DOL PREMIUM

PR
【デジタル変革の現場】

企業のデジタル変革
最先端レポート

先進企業が取り組むデジタル・トランスフォーメーションと、それを支えるITとは。

経営戦略最新記事» トップページを見る

最新ビジネスニュース

Reuters

注目のトピックスPR

話題の記事

莫邦富(モー・バンフ) [作家・ジャーナリスト]

1953年、上海市生まれ。85年に来日。『蛇頭』、『「中国全省を読む」事典』、翻訳書『ノーと言える中国』がベストセラーに。そのほかにも『日中はなぜわかり合えないのか』、『これは私が愛した日本なのか』、『新華僑』、『鯛と羊』など著書多数。


莫邦富の中国ビジネスおどろき新発見

地方都市の勃興、ものづくりの精度向上、環境や社会貢献への関心の高まり…中国は今大きく変わりつつある。先入観を引きずったままだと、日本企業はどんどん中国市場から脱落しかねない。色眼鏡を外し、中国ビジネスの変化に改めて目を凝らす必要がある。道案内人は日中を行き来する中国人作家・ジャーナリストの莫邦富氏。日本ではあまり報道されない「今は小さくとも大きな潮流となりうる」新発見を毎週お届けしよう。

「莫邦富の中国ビジネスおどろき新発見」

⇒バックナンバー一覧