10月にベータ版としてリリースされた「Googleショッピング」。ECサイトの商品情報を横断検索し、価格比較などができるサービスだが、これが意外に便利だ。
商品価格の比較サイトと言えば、「価格.com」などの先行サービスがある。では、後発となる「Googleショッピング」の強みはどこにあるのか? それを考える手がかりとして、今回は筆者の実体験を例に挙げてみよう。
先日、経済評論家の勝間和代氏が自身のブログで、ポラロイド社のインスタントモバイルプリンター「PoGo」を紹介しているのを見た。「PoGo」は、携帯電話などで撮影した写真をその場ですぐにシールタイプの印画紙にプリントアウトしてくれる製品である。旅行先で撮影した写真を手帳に貼りつけたり、もちろん、紙焼きの写真のように、友人や知人に手渡ししたりすることもできる。
そのエントリーを読んだ筆者は、早速Googleで検索し、メーカーサイトで「PoGo」の詳細を確認。その後、「Google」の検索結果ページに再び飛んで、ページ左メニューにある「ショッピング」をクリックしてみた。
すると、大手家電量販店を含むおよそ20社あまりでの価格がずらりと表示される。そのなかから最も価格の安いサイトで購入したわけだが、それまでに要した時間はほんとうにわずかだった。
「価格.com」を利用する場合、多くのユーザーはすでに購入する商品を決めていることが多いように思う。そのうえで、価格や送料の有無、ユーザーレビューなどを読み込んで、最終的にどの店で購入するかを選択する。いわば、「じっくり購入型」の買い物スタイルである。
一方、「Googleショッピング」はもっと「衝動買い型」である。上記の例に示したように、気になった商品を検索してメーカーページを閲覧し、その後、「Googleショッピング」を開いて取り扱い店や価格の動向を調べる。それまでの動作を、ほぼひと息に終えることができる。
なにせ、購入に至るまでのステップに必要なのは、Googleの検索窓に商品名を記入するだけなのである。是非はともかく、このスピード感は、リアル店舗でのショッピングの醍醐味の1つと重なる点でもある。なんとなく街を歩いていたら、いつの間にか、思いがけない商品を買ってしまっていた――「Googleショッピング」での買い物は、そんな感覚に近い。
また、「Googleショッピング」は無料で商品登録ができるので、販売店側にとってもメリットが大きい。「Google Merchant Center」に登録後、「id」「商品名」「商品リンク」「価格」「商品説明」「状態」を含んだデータフィードファイルを送信すれば、Google側の審査を経て、「Googleショッピング」に反映されるようになる。
データフィードの作成が難しいと感じる個人経営のお店などは、ショッピングモールなどに登録してみるのも手だ。たとえば、paperboy&co.が運営する「カラメル」などは、「Googleショッピング」への商品自動掲載に対応している。そのため、ショップ運営者のほうで新たに商品登録作業を行なう必要がない。
余談ながら、先の「PoGo」であるが、筆者が使っているiPhoneには未対応であることに購入後に気がついた次第。衝動買いは楽しいものだが、こんなことにならないように、くれぐれもご注意のほどを。
(中島 駆)