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みんなの就活悲惨日記 石渡嶺司

一流校はキリでも歓迎、二流校ならピンでもお断り!?
中堅・地方大生を悩ます「大学名差別」の悲しき実態

石渡嶺司 [大学ジャーナリスト]
【第5回】 2010年12月14日
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よくある光景~グループ面接で大学名に一喜一憂

 帝洋大の豊沼奈江は総合商社の鈴木商事が第一志望だった。

 七つの海を駆け巡る商社マンになりたい。メーカーで海外勤務の多かった父親の影響もあって、子どもの頃からそう考えていた。

 帰国子女ということもあり、大学入試は失敗。元々、数学が苦手な上に、国語の勉強が致命的に遅れていたためだ。結局、偏差値50の帝洋大に入学した。

 それでも大学自体に大きな不満はない。図書館は充実していたし、先生も熱心な人が多かった。おかげで充実した大学生活をおくることができた。これなら自分も大丈夫だろう。

 エントリーシート選考に通り、次はグループ面接。指定された鈴木商事本社の会議室に入った学生は、私を含めて5人。男子3、女子2。うん、ちょうどいい割合かも。

 入室すると、面接担当者が声をかける。

 「それではお名前と所属をお願いします」

 左端の学生から自己紹介だ。

 「はい、東京大学文学部の…」
 「大阪大学経済学部の…」
 「早稲田大学商学部の…」

 みんな緊張しながら話をしている。次は私の番だ。

 「はい、帝洋大学社会学部の豊沼奈江と申します。本日はよろしくお願いします」

 よし、普通に話せた。話せたはずだ。

 何もおかしくないはず、そうでしょ?

 あれ?さっきまでの緊張感がない。

 ふと、隣の早稲田の子を見てみる。さっきまでがちがちに緊張していたのに、今はリラックスすらしている。他の子も、だ。

 東大の学生など、うすら笑いすらしている。

 「帝洋なんて低偏差値大のヤツがよく受けに来たよな」

 といわんばかりだ。

 そう言えば、他の学生が自己紹介しているとき、顔を上げなかった面接担当者の一人は私が大学名を言ったときだけ顔を上げた。珍獣でも見るかのように。

 総合商社を私のような低偏差値大の学生が受けるのはそんなに悪いのだろうか。

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石渡 嶺司 [大学ジャーナリスト]

1975年生まれ。東洋大学社会学部卒業。日用雑貨の営業の派遣社員、編集プロダクションなどを経て2003年に独立。日本全国350校を超える大学を調査、とくに就職活動をめぐって、学生や大学就職課、教職員団体、あるいは高校生向けに積極的な執筆や講演活動を行う。主な著書に『就活のバカヤロー』『最高学府はバカだらけ』(以上、光文社新書)、『ヤバイ就活!』『就活のバカタレ!』(以上、PHP研究所)などがある。


みんなの就活悲惨日記 石渡嶺司

「第二次就職氷河期」といわれる現在。学生、企業、大学、親など、取り巻く関係者すべてに悲壮感が漂っている。こうした悲壮感が漂うなか、彼らの実態とはどのようなものなのか。その様子を時系列で追いながら、誰が就活を悲惨にしているのか、“犯人”を探る。

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