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情熱クロスロード~プロフェッショナルの決断

なぜ、卓球の日本代表監督は“権力”を手放したのか?

日本女子卓球監督・村上恭和氏に聞く(第3回)

ダイヤモンド・オンライン編集部
【第15回】 2016年10月22日
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リオ五輪女子卓球団体戦のダブルスペア福原愛選手・伊藤美誠選手にアドバイスをする村上恭和監督。村上監督たちがつくり上げた「世界で通用する選手」を育てる仕組みのなかで育ったのが伊藤美誠選手だ Photo:田村翔/アフロスポーツ

村上氏は日本女子卓球代表監督として選手をマネジメントするだけでなく、日本卓球を世界に通用するレベルに押し上げるための制度改革にも数多く取り組んできた。当初は反対意見や障壁も多かったというが、村上氏はその逆風をどう乗り越えてきたのか。また、リオ五輪を最後に代表監督を退任する村上氏は、今後の卓球界にどのようなかかわり方をしていくのか。話を聞いた。(聞き手/ダイヤモンド社 田中泰、構成/前田浩弥)

「日本」ではなく「世界」で勝つことに集中する

――村上監督は日本卓球を強くするために、小学生からのエリート教育にも携わってきましたよね。

村上恭和さん(以下、村上) 僕も、その推進者のひとりということです。これも、日本卓球の再生のために尽力された大先輩・荻村伊智朗さんの遺志を継いだ部分ですね。荻村さんは、小学生の全国大会をつくって定着させました。エリート教育の足掛かりにするためです。

村上恭和(むらかみ・やすかず)
1957年広島県尾道市生まれ。近畿大学付属福山高校から近畿大学に進む。一貫して卓球選手として活躍。和歌山銀行の卓球部で現役生活を終え、31歳のときにママさん卓球の指導者として独立。その指導力が買われて、1990年に日本生命女子卓球部監督に就任。6年後に日本一になって以来、日本リーグで30回の日本一に輝く。96年に日本女子代表コーチに就き、北京五輪後の2008年10月に監督就任。2012年8月、ロンドン五輪において日本卓球界悲願の初メダルを獲得。2016年8月のリオ五輪でも銅メダルを獲得して、2大会連続のメダル奪取を達成。その戦略立案にチームづくりに力を注ぐマネジメント・スタイルがスポーツ各界はもちろん、ビジネス界からも注目を集めている。著書に『勝利はすべて、ミッションから始まる。』(WAVE出版)がある。

 大会は荻村さんが亡くなってからも続きましたが、僕は「ただ大会を開催するだけではもったいないな」と感じていたんです。目に付いた選手は、早くから手をかけて強化したい。そして「小学生のナショナルチームをつくりたい」と。そこで2001年に、当時男子の日本代表監督に就任した宮崎義仁さんと協力して、「小学生ナショナルチーム」創設の原案をつくりました。

――小学生のうちからナショナルチームをつくるとなると、そのための運営体制も、お金も、コーチも整備しなければいけないですよね。

村上 そうですね。やはり大変でした。合宿をやるにしても、合宿費はほぼ参加者の自己負担。そして場所も、当時は今のようなナショナルトレーニングセンターがないですから、いろいろな企業の体育館をお借りしたりして……。

 しかも、選手だけではなく、コーチも一緒に教育しなければなりません。栄養のことやトレーニングのことも考える必要がある。だから、関係者全員で、目の前だけではなく先を見て、いろいろ勉強していきました。世界の卓球の情報を仕入れて、勉強して、それを選手に伝えたり。小学生のうちから「世界」を意識させる。そういうことがようやく、ここ数年で実を結んできたと思いますね。

――かつての日本卓球が国内での勝敗に固執したことの反省を活かされているんですね?

村上 そうです。荻村さんはよく「国際競争力」という言葉を使っていました。ありとあらゆることを、世界レベルで考えようと。「強化本部」という組織の名前も、「国際競争力向上委員会」と名前を変えてしまいましたからね。組織の名称に「国際競争力」という言葉を入れることで、もう潜在意識に刷り込んでいこうと(笑)。それくらいに「世界を見ることが大事だ」と訴えていた。

 その訴えが浸透して、協会が変わった。「日本の大会で強い人」より「世界の大会で力を出せる人」を選ぶようになった。極端にいえば「日本で負けても、世界で勝つ人を選ぼう」という風潮に変わっていったんです。

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音楽、スポーツ、文学、科学――。これらの世界には、高い才能を持つマエストロたちがいる。ジャンルを問わず彼らに共通するのは、他人にはマネのできない深い「情熱」である。常に新しい時代を創り出し、世の中をリードし続ける彼らは、日々何を見つめ、どんなことを考えているのか。知られざる「異才の素顔」にスポットを当てる。

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