経営×統計学

西内啓氏が特別指導!ビジネスに勝つ統計学(1)

 「君が真板くんか」

 何をどう進めたらいいのか分からず、ただぼうぜんとデータを見詰めていた真板。われに返って振り向くと、全身をモノトーンのカジュアルなファッションで固めた細身のイケメンが爽やかな笑顔で立っていた。

 「真板くん、紹介するわ。私の大学時代の友だちの西内くん。彼は日本屈指の『統計家』の1人。『統計学が最強の学問である』の著者って言えば分かるかしら」

 「え? え! あの西内先生ですか? 実は昨日、先生の本を買ったばかりなんです! まだ読んでないんですけど……」

 「“先生”というのはやめてくれないか。西内さんでいいよ。未来には大学時代に世話になってね。頭が上がらないんだ。事情は聞いた。さあ、統計学を使って君の悩み、いや、オフィス・デイリーの悩みを解決しようじゃないか」

 思いも寄らない援軍の登場に、真板は疲れが一気に吹っ飛んだ。

 「真板くん、ビジネスでなぜ統計学が必要とされているのか、分かるかい?」

 「えーと、未来さんの受け売りですけど、『データとデータの関連性を突き止めるため』ですか?」

 「その通り。例えば、君のように営業の仕事に携わっている場合は、売り上げにつながりやすい訪問先とつながりにくい訪問先の違いは何か、という原因を明らかにすることで売り上げを増やすためのアクションが起こせるようになる」

 「このデータから本当にそんなことが分かるんですか? は、早くやり方を教えてください!」

 勢い込む真板に、西内は諭すように言い聞かせた。

 「まあ落ち着いて。まずこれだけは覚えておいてほしい。ビジネスに統計学を使う際に一番重要なのは、分析作業そのものよりもむしろ、正しい分析の方針を立てるということなんだ」

 「分析の方針、ですか?」

 「そう。言い換えれば、データからどんなことが分かればアクションに結び付けられるか、ということを明確にしないと、分析結果には何の価値もなくなってしまう。君が作った合計の売上高と訪問事由のクロス集計のようにね」

*「西内啓氏が特別指導!ビジネスに勝つ統計学」第2回では、統計学を使って「訪問1回当たりの売上高をアップする方法」「営業箪笥者1人当たりの売上高をアップする方法」「適切な余裕在庫の水準を突き止める方法」を詳しく指南します。


(記事転載元:『週刊ダイヤモンド』2015年1月31日号特集「自由自在!統計学」P32~36/編集スタッフ:河野拓郎、小島健志、竹田孝洋、前田 剛、田原 寛(本誌嘱託記者))

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基礎から学ぶ統計学“最強”入門

大量のデータが溢れる現代社会では、様々な事象を数字で捉え、本質を導き出す統計学という手法や思考法が、ビジネスパーソンにとって必要不可欠なスキルとなる。勘や経験ではなく、データに基づいた正しい意思決定を下すことが重要だ。統計学の基本中の基本を、初心者にもわかり易く徹底解説する。

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