闇株新聞[2016年]
2016年10月21日公開(2016年10月21日更新)
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正体は明かしていない。
人気ブログ「闇株新聞」で「オリンパス事件」「AIJ投資顧問事件」といった経 済事件をきっかけに、信頼のおける解説でコアな読者をつかんでいる。 ダイヤモンド・プレミアム・メールマガジン(DPM)で有料メルマガ『闇株新聞プレミアム』を配信。
著書に『闇株新聞 the book』(ダイヤモンド社)など。

闇株新聞[2016年]

闇株新聞編集部
 

『闇株新聞』は、新聞、雑誌などの大メディアの経済記者や金融業界関係者、プロ級の個人投資家がひそかに情報源にしている。連載『週刊闇株新聞』では、ダイヤモンド社グループの有料メルマガ・DPM(ダイヤモンド・プレミアム・メールマガジン)『闇株新聞プレミアム』で配信しているディープな闇株的考察のダイジェストや「闇から暴く相場の真実」というスタンスのもと株、為替、日本国債、世界経済の今後などについて解説していきます。

闇株新聞編集部

とんでもない悪法「テロ支援者制裁法」を
成立させる米国の迷走。
新大統領でますます「困った国」に
闇株新聞が見る世界情勢と今後の為替の方向性

米国大統領選は大詰めを迎えつつありますが、テレビ討論会が下品な罵り合いに終始するなど、米国民のみならず世界中が不安を募らせています。それでも、ヒラリーかトランプかしか選択肢はありません。そして、どちらが就任しても自分の都合と目先の利益に走った政策で世界はますます混乱に陥ることになりそうです。その結果として日本を待ち受ける苦難の道とは!? 金融・経済のプロも愛読しネタ元にしていると評判の刺激的な金融メルマガ『闇株新聞プレミアム』が長期的な視野に立ち、今後の世界経済を見通します。

米国はオバマ大統領の8年間で変質した
次期大統領でその傾向に拍車がかかる

 オバマ大統領の任期がまもなく終わろうとしています。この8年間で世界情勢はかなり混沌としました。これはオバマ1人の責任ではなく、また「世界における米国の存在感が低下した」という単純な説明でも足りません。米国という国自体が「なかなか1つにまとまらない国」「問題ある方向に簡単に進んでしまう国」に変わっているからだと考えます。

 では、新大統領になれば事態は少しは改善に向かうでしょうか。残念ながら、もっと悪くなってしまうと言わざるをえません。

 それは大統領選を見ても明らかです。共和党は独自の大統領候補すら絞り切れず(トランプは無所属候補のようなものです)、一応は民主党候補となったヒラリーが逃げ切るのでしょうが、本当に任期の4年間もつのか(2期8年ということはありません)と今から心配されるほど問題だらけです。

 次期大統領がヒラリーだとすると、米国内の混沌をオバマ以上に拡大してしまうでしょう。国内産業保護のためのドル安、バラまきのための財政赤字拡大は間違いありません。この点は万が一、トランプになっても同じ(もっとひどい)です。

 FRBも利上げするかどうかで2年以上も悩み、2015年12月にようやく1回だけ(0.25%だけ)利上げできただけです。金融政策は独立しているのであちこちに遠慮する必要はないはずですが、いまだに悩んでいます。

米国とサウジアラビアの関係が悪化すると
日本のデフレが加速する理由

 米国は、中途半端に民主主義的な統治システムが出来上がっているため、こうなると余計に1つにまとまらず、とんでもない方向にいってしまう「困った国」なのです。

 その典型例が9月28日に上下院で圧倒的多数で可決されたテロ支援者制裁法(JASTA)です。さすがにオバマは拒否権を行使したものの、上院は97対1、下院は348対76で再可決してしまいました。オバマにとってはこれが12回目の拒否権行使でしたが、その拒否権が覆されたのは初めてです(議会は3分の2以上の賛成で再可決できる)。

 「テロ支援者制裁法(JASTA)」とは
9.11同時多発テロ事件の被害者及びその家族が、テロ支援国家(主にサウジアラビアを念頭)を提訴できる法案。国際法の慣習では「主権国家は他国の法律によって裁かれない」ことになっており、この法案はこれを逸脱する。逆に対テロ戦争に携わる米国企業や米国人が外国で提訴される可能性もはらむ。

 当然にサウジアラビア政府は大いに反発しています。そうでなくてもISIS対策でオバマがイランにすり寄ったため、両国の関係は微妙になっていたのです。両国の同盟関係に生じた亀裂は、今後ますます拡大していく可能性があります。

 米国とサウジアラビアの関係がギクシャクすると何が起こるかを考えてみましょう。

 サウジアラビアは湾岸地域の産油国を主導する国です。湾岸諸国の通貨の多くはドルとペッグ(固定)されており、また原油価格は国際市場でドル換算で取引されています。彼らが今後、石油価格を維持しようとすればこれまでのように減産するのではなく(それだと米国のシェール産業も潤わせることになる)、ドルに対して自国通貨を切り下げて対抗する道を選ぶでしょう。

 これは結局、米国自身も含む世界的な「通貨引き下げ競争」をさらに加速してしまうことになります。そうなると、日本にはもはや対抗する手段がなく、さらに円高が加速してしまうでしょう。日銀の「総括検証」は量的緩和の縮小でしかなく、長短金利の一層の引き下げはデフレ効果=円高加速でしかないからです。

次期大統領がドル安・バラマキ政策に走れば
来年は「どう考えても」円高材料しかない

 先週末(10月14日)、米国財務省は貿易相手国の通貨政策を分析した半期為替報告書を公表し、日本を引き続き「監視リスト国」に指定しました。思い返せばクリントン(夫)政権の1期目は日本に対する市場開放要求が激化し、一時80円割れ(1995年4月に一時1ドル=79.75円)の超円高にされました。

 もちろん当時と今では為替市場の厚みが全く違い、クリントン(ヒラリー)が夫の政策を踏襲するとは限りませんが、同じようなスタッフを使うため似たような政策になるはずです。さらに、次期政権では大統領が(長期的な国益や国際秩序など考えず)自らの都合で内政・外交を行う傾向が強まります。今後の世界情勢を鑑みると、円高圧力に働くと覚悟しておいていいはずです。

 保身に走り何もできなくなっているFRBが12月あるいは来年にも利上げを強行できるとは考えにくく、ますます円高材料がそろってしまいます。次に円相場のレンジが大きく外れるとすれば下方向(円高)であり、その時期は来年前半の「どこか」でしょう。

 さらに言えば、米国の財政赤字は2016年会計年度(2015年10月~2016年9月)で5874億ドルと、前年度比34%拡大しています。今年度はもっと拡大するでしょう。これが次期大統領(ヒラリーでもトランプでも)のドル安・貿易赤字拡大バラマキ政策とセットになると「どこかで」ドル危機の引き金を引いてしまうかもしれません。

 来年は「どう考えても」円高・ドル安材料が目白押しなのです。米国大統領選の行方と株や為替の見通しについては、金融メルマガ『闇株新聞プレミアム』で今後も引き続き詳細に特集し、変化の兆しがあったときにはいち早くお伝えしていきます。

本連載は金融・経済のプロも愛読し”ネタ元”にしていると評判の刺激的な金融メルマガ『闇株新聞プレミアム』で配信された記事から、一部を抜粋・編集の上お送りしています。メルマガにご登録いただくと、政治経済や金融の話題を中心に、歴史文化や娯楽まで他のメディアでは決して読めない、濃くて深くてためになる記事が、毎週1回5本程度の本編と付録、番外編、速達便がお読みいただけます。日々のニュースを読み解くセカンドオピニオンとしてご活用いただければ幸甚です。
 

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