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「引きこもり」するオトナたち

「引きこもり」本人同士が支え合い活路を見出す、異色の人生道場

池上正樹 [ジャーナリスト]
【第267回】 2016年10月20日
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引きこもる本人同士が相互に
支え合う「ピアサポート」とは?

 主催者も参加者も、すべて引きこもり当事者と経験者のみ。そんな異色の「ひきこもりピアサポートゼミナール」が横浜市で開催され、注目されている。

 ひきこもりピアサポートゼミナールとは、「似たような経験をした当事者同士が相互に支え合っていく」ためのゼミナール形式の学習会。つまり、「ひきこもり本人や経験者同士が、共通のひきこもり経験を活かし、米国保健省の研修テキスト(Training in Consumer-Operated Services:ピアスタッフネットワーク訳)や演習を通して、今後、“ピア”として活動する際の“考え方のベース”を身につけよう」という、かなり本格的な学習の場だ。

 主催者は、「神奈川県内でも希少な」ひきこもり当事者グループである『「ひき桜」in横浜』(割田大悟代表)。2015年に発足したばかりの同団体では、“ゆるさ”を大事にしながら様々な企画を通じ、参加者同士が「つながる」ことを目的に活動していて、最近では参加者の数も25人~30人と増え続けている。

 「“自分たちの色々な問題や将来のことは、自分たちで支え合って解決できるといいな”っていう思いはずっとあったんです」

 割田代表は、そうきっかけを説明する。

 「今までも“居場所”などの活動はありましたが、“居場所”にとどまらない社会的活動を自分たちでできないかなと探っていました。その中で、“ピアサポート”を学ぼうと思ったのは、精神障害の領域で盛んになっているので、引きこもりの世界でも十分にあり得るのではないかと思ったんです」

 当事者同士が支え合うための社会的活動を考えたときに、そもそも「ピアサポートって何だろう?」ということをお互いがよく知らないまま活動を始めてしまうと、「ピア活動をしている」と言いながら、実際には「既存の専門職や支援者がやっている活動とあまり変わらなくなるのではないか」と、割田さんたちは危惧したという。

 「自分たちが目指しているのは、あくまで対等で相互的な関係で行われる意味のピアサポートなので、既存の活動と違うアプローチもいいんじゃないかと思っているんですね。このゼミナールは、『ピアサポートとは何なのか?』をみんなで一緒に考えて、それぞれ自分たちでピアサポートのあり方を模索する試行的な取り組みんです」(割田代表)

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池上正樹 [ジャーナリスト]

通信社などの勤務を経て、フリーのジャーナリストに。主に「心」や「街」を追いかける。1997年から日本の「ひきこもり」界隈を取材。東日本大震災直後、被災地に入り、ひきこもる人たちがどう行動したのかを調査。著書は『ひきこもる女性たち』(ベスト新書)、『大人のひきこもり』(講談社現代新書)、『下流中年』(SB新書/共著)、『ダメダメな人生を変えたいM君と生活保護』(ポプラ新書)、『あのとき、大川小学校で何が起きたのか』(青志社)など多数。TVやラジオにも多数出演。厚労省の全国KHJ家族会事業委員、東京都町田市「ひきこもり」ネットワーク専門部会委員なども務める。YAHOO!ニュース個人オーサー『僕の細道』

 


「引きこもり」するオトナたち

「会社に行けない」「働けない」――家に引きこもる大人たちが増加し続けている。彼らはなぜ「引きこもり」するようになってしまったのか。理由とそうさせた社会的背景、そして苦悩を追う。

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