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レジリエンスに影響?

井手ゆきえ [医学ライター],-週刊ダイヤモンド編集部-
【第315回】

 ストレス社会の今、レジリエンス──心の弾力・回復力という概念が注目されている。

 日本ではまだ、明確な定義はないが、大まかに言うと「深刻な状況で一時的に心身の健康が損なわれても、弾力的に回復する力」を指す。もとは精神・心理学の領域で発達してきた概念。うつ病など気分障害の心理療法としてレジリエンスを高めるトレーニングが取り入れられてきた。

 最近は「ライフスキル=人間として生きていくために必要な力」という認識が強くなり、学校教育や企業研修で普及し始めている。

 さて、訓練プログラムに接する機会は無いなぁという貴方に、個人で努力できる方法を紹介しよう。それは食事。

 日本医科大学の吉川栄省氏らのグループは、以前から「長鎖n-3系多価不飽和脂肪酸」──EPAやDHAなどと、レジリエンスとの関連を研究している。

 今回は、日本企業に勤める会社員を対象に、食事とレジリエンスとの関係を調べた。対象は715人(平均年齢39.9歳、男性596人、全体の65.2%が既婚者、8割以上が大卒以上)で、食事内容と抑うつ症状の評価スコア、およびレジリエンスを評価する一連の質問に回答してもらった。

 揚げ物に関しては、この半年間で、ほとんど食べない、1カ月に1~3食、1週間に1~2食、同じく3~4食、ほぼ毎日食べる、で頻度を確認している。

 性別、学歴などの影響を調整し検討した結果、揚げ物を食べる頻度が高いほど、レジリエンスが低下していると判明。また、レジリエンス尺度と抑うつ症状スコアは、有意に関連していた。

 研究者は、揚げ物に使う植物油に含まれる「n-6系多価不飽和脂肪酸」──リノレン酸などの影響を指摘。「揚げ物の頻繁な消費とうつ病に対する低レジリエンスとは関連している」と述べている。

 日本人は、抗うつ効果があるとされるEPAやDHA豊富な魚を「生」で食べる機会が多い。しかし、その効果も大量の揚げ物に相殺されかねないわけだ。

 唐揚げにビール、は口福だが、時には別の肴に目を向けませんか。

(取材・構成/医学ライター・井手ゆきえ)

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井手ゆきえ [医学ライター]

医学ライター。NPO法人日本医学ジャーナリスト協会正会員。証券、IT関連の業界紙編集記者を経て、なぜか医学、生命科学分野に魅せられ、ここを安住の地と定める。ナラティブ(物語)とサイエンスの融合をこころざし、2006年よりフリーランス。一般向けにネット媒体、週刊/月刊誌、そのほか医療者向け媒体にて執筆中。生命体の秩序だった静謐さにくらべ人間は埒もないと嘆息しつつ、ひまさえあれば、医学雑誌と時代小説に読み耽っている。

 

週刊ダイヤモンド編集部


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