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親中・反米だが親日家、比ドゥテルテ大統領との付き合い方

真壁昭夫 [信州大学教授]
【第452回】 2016年11月1日
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就任後初来日し、安部首相と会談したフィリピンのドゥテルテ大統領 Photo:首相官邸HP

“ダバオのダーティーハリー”と呼ばれる
フィリピンのドゥテルテ大統領

 “暴言王”、“ダバオのダーティーハリー”などの呼び名で知られる、フィリピンのドゥテルテ大統領が来日した。ドゥテルテ大統領はこれまでも、思ったことをすぐに口にし、自分の存在を誇示してきた。

 そのため、どのような発言が飛び出すかに注目が集まっていたのだが、安倍首相などに対する発言は今のところ穏当だ。意外な親日家の一面が出ているのか、それとも、わが国から多くのベネフィットを引き出すための意図的な態度なのか、その真意は定かではない。

 ドゥテルテ大統領の横暴とも見える態度は、反米、親中等の方針を使い分け、大国からインフラ投資や防衛面での有利な条件を引き出すための演出との見方は多い。ただ、中長期的に見ると、その行動は大きなリスクを抱えている。すでに米国政府はドゥテルテ大統領の政策に懸念を表明した。

 中国は、南シナ海の領有権を巡る問題はフィリピンと解決すると声明を出し、国際司法判断の無視を決め込んでいる。明らかに、ドゥテルテ大統領の発言はアジア情勢の不安定化要因だ。その点で、フィリピン国民はリスクの高いリーダーを選んでしまった。

 もし、フィリピンが、米国との関係を修復できず中国の圧力に飲み込まれると、アジアにおける中国の影響力は強まる。中国は海洋進出を強化しつつ強引外交を進め、恭順を示す国にインフラ整備の手助けを行うはずだ。そうなると、アジアの中でわが国は孤立する可能性もある。

 わが国はそうしたシナリオを念頭に、アジア諸国との関係を強化することが必要だ。世界経済を見渡すと、需給ギャップはほとんど縮小せず、景気の低迷リスクが高まっている。その中で、アジアの新興国は経済基盤の強化のためにインフラ関連の支援を是が非でも取り付けたい。

 それは、アジアにおけるわが国の存在感を強める重要なきっかけだ。ただ単に求められたことに応じるのではなく、わが国の事情を十分に加味した要求や条件を提示するなど、わが国を中心とした経済・外交網の整備を進めることが大切だ。

エリート層の出身で反米的な政治思想
ロドリゴ・ドゥテルテ氏の人物像

 2016年5月の大統領選挙で当選したロドリゴ・ドゥテルテ氏は、1945年フィリピン中部のレイテ島に生まれた。父親は法律家、母親は教師であったといわれており、いわゆるエリート層の出身だ。

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真壁昭夫 [信州大学教授]

1953年神奈川県生まれ。一橋大学商学部卒業後、第一勧業銀行(現みずほ銀行)入行。ロンドン大学経営学部大学院卒業後、メリル・リンチ社ニューヨーク本社出向。みずほ総研主席研究員などを経て現職に。著書は「下流にならない生き方」「行動ファイナンスの実践」「はじめての金融工学」など多数。


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