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モビリティ羅針盤~クルマ業界を俯瞰せよ 佃義夫

タカタのエアバッグ事故が提起する2つの問題

佃 義夫 [佃モビリティ総研代表]
【第42回】 2016年11月4日
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Photo:REUTERS/AFLO

エアバッグ部品のリコール問題で
経営危機に直面しているタカタ

 タカタというと、業界内ではエアバッグのメーカーとして、一気に知られるようになった。皮肉なことに、そのタカタの社名を世間に広く有名にさせたのもエアバッグであった。タカタが製造し、自動車メーカーに供給する安全装置、エアバッグ部品のインフレータ(膨張装置)による大量のリコール(回収・無償修理)問題である。

 元々、シートベルトやチャイルドシートで大手の部品製造業だったタカタは、エアバッグ分野には早くから進出していた。タカタからは日本の自動車メーカーだけでなく、欧米の自動車メーカーの多くも供給を受けてきた。それだけに「エアバッグ破裂事故」によるリコールが広がるにつれ、自動車メーカーの品質保証対応コスト引き当ても高まった。その一方、この問題でタカタの経営体質に対して、非難が続出したのは周知の通りだ。

 結果、タカタは大きな経営危機に直面している。経営支援を求めた「身売り」も時間の問題とされる。折しもタカタは4日、9月中間決算発表を行う。年内にも企業としての方向も定まることになりそうだ。

 ところで、、この「タカタ問題」は、いち部品メーカーの存亡の問題として決着するだけでなく、クルマの宿命的課題である「安全対応」の問題として考えるべきであり、ここで抜本的な解決の道をしっかりと探るべきであろう。

 すでに自動車産業は部品共用化・プラットフォーム共用化が進み、かつ電動化に自動運転、コネクティッド(つながる)にIT(情報通信)・AI(人工知能)と、クルマはよりブラックボックス化している。「安全対応」において、予防安全の重視からリコール制度の本質を改めて確認しつつ、完成車メーカーと部品サプライヤーの社会責任のあり方等を、ここでしっかり見直しておかねばならないはずだ。

 米国における欠陥エアバッグの最初のリコールからおよそ8年が経過した。事の発端は、米国内で起きたエアバッグの破裂事故で、タカタ製のインフレータが原因とされたことだ。

 しかし、この間、不具合の原因究明には時間がかかった。それが昨年2015年11月に米運輸省道路交通安全局(NHTSA)がタカタのエアバッグの欠陥を「企業の不祥事」と位置づけ、同社が適切なリコールや情報開示を行わなかったため米国内で被害が拡大したと、最大2億ドル(約240億円)の民事制裁金を課すと発表。同時にタカタと自動車メーカーに対し、2019年までにリコールを完了するよう命じた。

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佃 義夫[佃モビリティ総研代表]

つくだ・よしお/1970年、創刊86周年(2014年2月時点)の歴史を持つ自動車産業日刊専門紙『日刊自動車新聞社』入社、編集局に配属。自動車販売(新車・中古車)・整備担当を皮切りに、部品・物流分野を広域において担当した後、国土交通省・経済産業省など管轄官庁記者クラブ、経団連記者クラブ(自工会分室)と、自動車産業を総合的に網羅し、専任担当記者としてのキャリアを積む。その後、該当編集局内における各分野のデスク・論説担当編集局次長を経て、出版局長として自動車産業オピニオン誌『Mobi21』を創刊。以降、取締役編集局長・常務・専務・代表取締役社長を歴任。45年間の社歴全域で編集・出版全体を担当、同社の「主筆」も務める。日刊自動車新聞社を退任後、2014年に「佃モビリティ総研」を立ち上げ、同総研代表となる。


モビリティ羅針盤~クルマ業界を俯瞰せよ 佃義夫

「自動車」から「モビリティ」の時代へ――。クルマ業界が変貌を遂げつつあるなか、しのぎを削る自動車各社。足もとで好調を続けるクルマ業界の将来性と課題とは、何だろうか。日本の自動車産業・クルマ社会をウオッチしてきた佃義夫が、これまでの経験を踏まえ、業界の今後の方向・日本のクルマ社会の行方・文化のありかたなどについて、幅広く掘り下げ提言していく。

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