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山崎元のマネー経済の歩き方

運用で目標を持つことの功罪

山崎 元 [経済評論家・楽天証券経済研究所客員研究員]
【第161回】 2011年1月18日
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 司会者の小倉智昭さんから聞いた話だ。高校生の頃、父上が「智昭、夢なんて持たなくていいぞ。持つなら『目標』を持て」とおっしゃったのだという。これを聞いて発憤した小倉さんは、アナウンサーになることを目標として努力を重ね、結果として今日の地位を築いた。人生にあって、具体的な目標を持つことの重要性を語るいい話だと思う。

 運用の場合はどうだろうか?

 一般論として、運用にあっても目標を持つことは悪いことではない。ただ、利回りや価格のかたちで運用の目標を持つことになると、目標がしばしば悪影響を及ぼす。

 利回りでの目標が弊害として働いた典型は、日本の企業年金だろう。厚生年金基金や税制適格年金といった民間企業の年金制度は、1990年代の終わり頃まで、運用資産が5.5%の利回り(「予定利率」という)で運用される前提で運営されていた。しかし、かつては国債に投資していても達成できた5.5%だったが、バブル崩壊後の不況とデフレによって金利が低下し、株式や外貨建て資産などの「リスク資産」に投資して利回りを稼がないと、制度が運営できない状況に立ち至った。

 ここで、個々の年金基金や母体企業が、どの程度のリスクを取ることができて、リスクに対してどの程度の追加的な利回りを得ることができるかを現実的に考えて、予定利率自体を修正して、運用計画を修正できればよかったのだが、多くの基金・企業が5.5%を「運用目標」として掲げたまま、リスクを十分検討せずに運用を行って窮地に陥った。多くの年金基金が母体企業に想定外の多大な負担をもたらすことになった。

 この場合、なまじ「目標」があって、これにこだわったために、運用で失敗したといえる。

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山崎 元 [経済評論家・楽天証券経済研究所客員研究員]

58年北海道生まれ。81年東京大学経済学部卒。三菱商事、野村投信、住友信託銀行、メリルリンチ証券、山一證券、UFJ総研など12社を経て、現在、楽天証券経済研究所客員研究員、マイベンチマーク代表取締役。


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