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岸博幸のクリエイティブ国富論

与謝野氏入閣で日本は「最小不幸社会」ではなく
「最小不幸財政・最大不幸経済」に向かう

岸 博幸 [慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科教授]
【第123回】 2011年1月21日
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 山崎元氏が今週、ダイヤモンド・オンラインの中で、与謝野氏の入閣を巡る問題点を指摘しました。そこで、それを受ける形で、かつて政府内にいた人間の立場から感じる問題点を説明したいと思います。

民主党の国民に対する背信行為

 山崎氏が指摘されている問題点の中で特に重要なのは、与謝野氏の入閣によって、菅政権はマニフェストを放棄しようとしており、まず歳出削減と予算の組み替えを行なった後に消費税増税と約束していたのに、その約束を反故にしようとしている、という点だと思います。

 実際、政権交代を実現した2009年の衆院選マニフェストには、“消費税増税”という言葉はなく、歳出削減と予算組み替えが全面的に強調されています。2010年の参院選マニフェストでも、「消費税を含む税制の抜本改革に関する協議を超党派で開始します」という表現はあるものの、やはりまずは歳出削減と予算組み替えという方が前面に出ています。

 そう考えると、今回の与謝野氏の入閣は、民主党政権の国民に対する裏切りの第一歩と考えざるを得ません。

 歳出削減はたった3回の事業仕分けという政治ショーでお茶を濁しただけで、その3回で削減できた総額も3兆円程度です。予算の組み替えに至っては、多少の一括交付金が実現した程度にすぎません。予算編成は財務省に丸投げですので、実現するはずないのです。

 つまり、与謝野氏の入閣は、約束した歳出削減と予算組み替えは全然しっかりやれなかったのに、もうそれらは諦めて一足飛びに消費税増税だけは早く実現させたい、という民主党政権の意思表示に他ならないのです。

与謝野大臣に関する3つの問題点

 さらに問題なのは、せめて消費税増税の議論が正しい形で行なわれるなら良いのですが、与謝野大臣にはそれを期待できないということです。

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岸 博幸 [慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科教授]

1986年通商産業省(現経済産業省)入省。1992年コロンビア大学ビジネススクールでMBAを取得後、通産省に復職。内閣官房IT担当室などを経て竹中平蔵大臣の秘書官に就任。不良債権処理、郵政民営化、通信・放送改革など構造改革の立案・実行に関わる。2004年から慶応大学助教授を兼任。2006年、経産省退職。2007年から現職。現在はエイベックス・マーケティング株式会社取締役、エイベックス・グループ・ホールディングス株式会社顧問も務める。

 


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