与謝野総理大臣?

 先般の内閣改造で経済財政担当相に就いた与謝野馨氏は、「人生90年を前提に定年延長も考えなければならない。それにより年金支給年齢の引き上げも考えられる」(『日本経済新聞』1月22日朝刊)と言い放った。

 与謝野氏はこれ以外にも、公的年金に関して「(現行の)社会保険料方式が現実的」だと、民主党が総選挙の際のマニフェストに掲げた年金改革案(税金を財源とする最低保障年金を創設することを骨子とする)を真っ向から否定するような発言も行っている。

 何れも、これが内閣の方針になるのなら、与謝野氏が実質的にこの内閣の総理大臣なのではないかと思わせるほどの大きな政策課題だ。

 批判もある中で大臣に就任した与謝野氏が、力を込めて持論を主張したい気持ちは分からなくもないが、果たして、民主党政権としては、これでいいと考えているのだろうか。

  原則として、政治家が持論を述べるのは自由だ。議論はオープンであるべきだ。まして、今の与謝野氏のように政府の要職にあって注目されている人は、政策について自らの立場を大いに語るべきだ。

 だとすると、見識を問われるべきは、与謝野氏を閣僚に任命した菅首相だということになるだろう。

 筆者は、今回の与謝野氏の閣僚への任命はさすがにおかしいのではないか、と考えている。この人事は、総選挙で民主党を支持した人も、自民党を支持した人も賛成できないのではないか。こんな調子では政権が長く保たないのではないかと思うが、今回考えてみたいのは政局の問題ではない。