社会的な「成功レール」の崩壊、どんどん不確実になる未来、SNSにあふれる他人の「キラキラ」…。そんな中で、自分の「やりたいこと」がわからず戸惑う人が、世代を問わず増えています。本連載は、『「やりたいこと」はなくてもいい。』(ダイヤモンド社刊)の著者・しずかみちこさんが、やりたいことを無理に探さなくても、日々が充実し、迷いがなくなり、自分らしい「道」が自然に見えてくる方法を、本書から編集・抜粋して紹介します。

「やりたいこと」がなくても、自分の進むべき道が自然に見えてくる「4つの実践的ステップ」Photo: Adobe Stock

「強みの種」を見つけて育てれば、道は自然にできていく

ここまででお話したように、「やりたいこと」が見つからない、特にないという人(本書の「積上型」「修行中の逆算型」に分類される人)は、無理して目標を見つけようと焦るより、自分自身の「強みの種」を見つけて、大事に育てていくことで「自分の道」が自然にできていくことが多いのです。

「強みの種」を発芽させ、芽を育て、花開かせ、そして自分の「道」を見つけるまでには、次の4つのステップが必要となります。

STEP1│世界を広げ「強みの種」に刺激を与える
種が置かれた空間が狭いと、種は発芽しません。まずは自分の世界を広げることで、強みの種に刺激を与える機会を増やします。
様々な経験を積み、新しい世界に触れることが水や養分となり自分の中にある強みの種が反応し始めます。「なぜか惹かれる」「やってみたい」と感じる領域に勇気を持って一歩踏み出すことで、強みの種が反応し始めます。【第4章で解説】

STEP2│自分を深め「強みの種」を芽吹かせる
世界を広げる活動の中で同時に「自分の内側に生じる反応や感情」を深く観察します。自分の行動パターンや価値観を振り返り、「感情」「身体感覚」「違和感」「他者からのフィードバック」など、様々な手がかりから自分の中の強みの種を見つけます。そして仮説を立て、それを意識的に使ってみることで検証を重ねます。
「強みの芽」が現れ始めると、周囲からも「そんなことができるってすごい」といわれることも増えますが、この段階では、本人はまだ無自覚なことも多いです。【第5章で解説】

STEP3│「強みの芽」の成長を邪魔するものを取り除く
強みの芽の健やかな成長を邪魔するものを取り除きます。例えば、「こんなことは大したことではない」という思い込み、周囲の期待や社会的な「べき論」などです。
心のより深い部分で「自分自身との信頼関係」が築けていないと自分の強みを認められません。
弱みについても理解し、克服すべき弱みと受け入れるべき弱みを見極め、強みがより効果的に発揮される土壌を整えます。【第6章で解説】

STEP4│「強みの花」が開き、自然に「道」が見えてくる
強みが健やかに育つ環境を作り、適切な挑戦を続けていくと、やがて「強みの花」が開きます。
常に意識的に強みを使えるようになり、自分にも周囲にもどんどん良い結果をもたらすようになります。
この好循環が起きると、やりたいことを無理に探さなくても自然と自分の進むべき方向性、つまり「道」が明確になってきます。
この道は、「理想の自分」につながっています。この道を進むと自分の哲学や信念とも呼ぶべきものが育ち人生の意味や自分の役割も明確になり、自分らしい充実した人生を創造することができるようになります。【第7章で解説】

これらの4つのステップは、必ずしも順番通りに進むものではなく、時には行きつ戻りつすることもあります。
大切なのは、焦らず、自分のペースで一歩ずつ前に進むこと。

そして何より、自分の内側にある強みの声に耳を傾け続けることです。繰り返し言いますが、「強み」は無意識に発動され、自分にとっては当たり前すぎることなので、自分自身がもっとも気づきにくいものです。

次の章から、具体的・実践的な方法を解説していきます。

*本記事は、しずかみちこ著『「やりたいこと」はなくてもいい。 目標がなくても人生に迷わなくなる4つのステップ』(ダイヤモンド社刊)から抜粋・編集したものです。