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社会文化的伝統は肥満のもと
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井手ゆきえ [医学ライター],-週刊ダイヤモンド編集部-
【第320回】

 世界各国の祝祭日の過ごし方はそれぞれだが、一つ共通点がある。それは家族で美味しい物をたくさん食べること。

 先日、米マサチューセッツ内科外科学会発行の「NEJM」にユニークな研究結果が報告された。

 米コーネル大学の研究チームによるそれは、米国、ドイツ、そして日本の国民の祝日と体重の変化率の関係を調べたもの。

 方法はいたってシンプル。2012年8月~13年7月の調査期間中、約3000人の参加者は毎日ネットワーク対応の体重計に乗り、研究者が送られてくる体重の変化を記録し続けた。

 日本の参加者は383人(平均年齢41.6歳、平均体格指数:BMI24.7)で、11%がBMI25以上の肥満だった。

 さて、結果である。各国とも体重増のピークはクリスマス~新年の家族や友人とともに過ごす時期。クリスマスを挟んだ10日後と10日前で体重を比較したところ、3カ国ともクリスマス後に有意に増加。新年のピークを挟んで、元の水準に戻るまで、約5カ月を要することがわかった。

 年間の体重変化をよくよく見ると、体重の増減にも社会文化的影響があることがよくわかる。年末年始が体重増のピークなのは各国共通だが、GW近辺に体重増の山があるのは、日本だけ。

 一方、米国の第二のピークは感謝祭が始まる11月末頃から。

 感謝祭は北米の大事な行事で、毎年この時期には家路を急ぐ人々で各交通機関が大渋滞に陥る──。この研究が今時期に公表されたのはこのためだろう。また、ドイツの第二ピークは4月の復活祭(イースター)近辺。こちらも家族が集まる大切な休日である。

 実は日本には独特の山がもう一つある。それは3月末~4月にかけて。新年度の歓送迎会で飲食機会が増えるためと思われる。

 つまり日本人は、年末年始の体重増を消化しきれないまま、新年度の歓送迎会、GWの「太りやすい時期」に突入するわけなのだ。

 年末年始からの約半年間、社交上の飲み会が大切なことはよくわかりますが、健康管理のうえでは、ほどほどに。

(取材・構成/医学ライター・井手ゆきえ)

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井手ゆきえ [医学ライター]

医学ライター。NPO法人日本医学ジャーナリスト協会正会員。証券、IT関連の業界紙編集記者を経て、なぜか医学、生命科学分野に魅せられ、ここを安住の地と定める。ナラティブ(物語)とサイエンスの融合をこころざし、2006年よりフリーランス。一般向けにネット媒体、週刊/月刊誌、そのほか医療者向け媒体にて執筆中。生命体の秩序だった静謐さにくらべ人間は埒もないと嘆息しつつ、ひまさえあれば、医学雑誌と時代小説に読み耽っている。

 

週刊ダイヤモンド編集部


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