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莫邦富の中国ビジネスおどろき新発見

成都イトーヨーカ堂で海産物が売れまくる
――「春節」商戦に見る中国内陸部の大変貌

莫 邦富 [作家・ジャーナリスト]
【第38回】 2011年2月3日
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 中国は今、春節(旧正月)ムード一色だ。2月3日が旧正月の元日で、2月2日は大晦日である。その夜は「年夜飯」と呼ばれる一家団欒の食卓を楽しむ。食事の後は、CCTVが放送する日本の紅白歌合戦に相当する「春節晩会」と呼ばれる番組を鑑賞する。

 以前なら、最大行事の一つである「年夜飯」は、自宅で家族全員が食卓を囲んで手作りの料理を食べるのが習わしだったが、今や都会部ではレストランで食べるのが普通になった。だから、春節は近年、中国の外食業界にとってはもっとも重要な稼ぎ時となった。

 一家団欒のため、他の地方で働いていたり暮らしている人々も親の住む実家に駆けつける。だから春節前後は中国各地で民族の大移動が見られる。その規模があまりにも大きいので、鉄道、高速道路、航空、船舶などの交通機関にとってはたいへんな時期となる。期間中の運送事情は「春節運送」という固有名詞もできてしまうほど特殊で、海外のメディアにとってもお決まりの取材テーマとなる。略して「春運」と呼ばれる「春節運送」も中国の経済規模の増大に従って、規模を拡大してきた。

成都のイトーヨーカ堂で、交通整理を受けてエスカレーターに乗る客たち。

 親元に集まるので手ぶらでは失礼だ。兄弟や親せきなどのこともあり、お土産も用意しておかなくてはならない。春節には欠かせない伝統的な食べ物などもあり、こうした商品は「年貨」と呼ばれる。春節前にボーナスが支給されたこともあり、デパートやスーパーではとにかく商品が飛ぶように売れる。上海などのデパートで、よく大晦日の日にその年の一日当たりの売り上げ記録を更新するのもそのためである。

成都のイトーヨーカ堂の食品売り場(地下1階)は客で埋め尽くされていた。

 その春節の前に、私は内陸にある四川省の省都成都市を訪れ、7年ぶりにイトーヨーカ堂に対する実地調査を行った。

 まず訪問したのはイトーヨーカ堂の成都2号店である双楠店だったが、店の前にある駐車場に入るために、長蛇の列を辛抱強く並んでいた。私と一緒に訪問した日本のある企業の社長ははじめての訪問だったためとてもびっくりしていた。「スーパーに入るのにこんなに列を並ばなくてはならないのですか」と自分の目が信じられないようだった。

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莫邦富(モー・バンフ) [作家・ジャーナリスト]

1953年、上海市生まれ。85年に来日。『蛇頭』、『「中国全省を読む」事典』、翻訳書『ノーと言える中国』がベストセラーに。そのほかにも『日中はなぜわかり合えないのか』、『これは私が愛した日本なのか』、『新華僑』、『鯛と羊』など著書多数。


莫邦富の中国ビジネスおどろき新発見

地方都市の勃興、ものづくりの精度向上、環境や社会貢献への関心の高まり…中国は今大きく変わりつつある。先入観を引きずったままだと、日本企業はどんどん中国市場から脱落しかねない。色眼鏡を外し、中国ビジネスの変化に改めて目を凝らす必要がある。道案内人は日中を行き来する中国人作家・ジャーナリストの莫邦富氏。日本ではあまり報道されない「今は小さくとも大きな潮流となりうる」新発見を毎週お届けしよう。

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