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山田英夫のビジネスモデル・ラボ

成田空港を支える「非航空系事業」の知られざる収益力

山田英夫 [早稲田大学ビジネススクール教授]
【第4回】 2016年12月20日
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今や成田空港は、物販・飲食収入とテナント賃料などのリテール事業が収益の柱。免税店が軒を連ねるエリアのほぼ同じ地点を昔(写真左)と今(右)で見比べると、このように様変わりしている(右写真はナリタ北通り)

 成田空港の非航空系収入が航空系収入を超えた。これは成田国際空港株式会社(以下、成田空港)が、出国手続きを終え、搭乗前のお金と時間がある乗客をターゲットに、リテール事業を展開してきた結果である。今回はそのビジネスモデルの強さに迫ってみよう。

実は航空系収入よりも
非航空系収入が多い成田空港

 成田空港は1966年に新東京国際空港公団として設立され、2004年に民営化された。民営化後、国際的にも国内的にも競争が激しくなってきた。国際的には、仁川(韓国)、浦東(中国)、チャンギ(シンガポール)、香港などが、アジアのハブ空港の座をめぐって、安い着陸料を武器に熾烈な競争を繰り広げてきた。ちなみに、仁川、浦東などは成田空港の半額程度の着陸料としており、競合の多くは年間旅客数1億人ほどを計画している(成田の現状は年間4000万人弱)。

 一方国内的には、羽田空港の国際線化が加速している。2010年に、D滑走路と新国際線旅客ターミナルが供用開始となり、新発着枠7万回のうち、6万回が国際線に割り当てられた。さらに2014年には、国際線ターミナルが拡張され、飛行先が格段に増えた。関西空港や中部空港も、国際線を拡充している。

環境変化の中で
伸び悩む航空系収入

 空港の収入は、航空系収入と非航空系収入に分けられる。前者は、航空会社からの着陸料、停留料、旅客からの旅客サービス施設使用料、石油会社などからの給油施設使用料から成る。民営化直後、成田空港の収入の7割弱は航空系収入であった。しかし航空系収入は簡単には伸びない。それには次のような理由が挙げられる。

 第一に、旅客機の軽量化と中・小型化である。成田空港の着陸料は、現在は飛行機の騒音と重量で決まっているが、2004年以前は飛行機の重量で決まっていたため、1980年頃のジャンボジェット全盛期は、着陸料も増加していた。しかし燃費向上のため旅客機が軽量化され、また効率を重視した運航により、大型機よりも中・小型機の運航回数が増え、平均単価は低下傾向にある。

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山田英夫 [早稲田大学ビジネススクール教授]

慶應義塾大学大学院経営管理研究科修了(MBA)後、三菱総合研究所にて新事業開発のコンサルティングに従事。1989年早大に移籍。学術博士(早大)。専門は競争戦略、ビジネスモデル。アステラス製薬、NEC、ふくおかフィナンシャルグループ、サントリーホールディングスの社外監査役を歴任。主著に『経営戦略 第3版』(共著、有斐閣、2016)、『競争しない競争戦略』(日本経済新聞出版社、2015)、『異業種に学ぶビジネスモデル』(日経ビジネス人文庫、2014)、『逆転の競争戦略:第4版』(生産性出版、2014)、『ビジネスマンの基礎知識としてのMBA入門』(共著、日経BP社、2012)などがある。


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企業を取り巻くビジネス環境が激変するなか、これまで自社の主流となってきたビジネスモデルを、根本から見直そうと考える経営者は増えている。しかし、単なる新製品・新事業開発に比べて、ビジネスモデルの再構築は、極めて難しいのが現実である。一方で、業界になかったビジネスモデルを構築し、着実に利益を稼ぎ、堅実な成長を遂げている企業も少なくない。なかには、表面的には競合他社と変わらないようなビジネスモデルを持っている企業もある。この連載では、様々な業界でビジネスモデルを巧みに構築している企業にスポットをあて、顧客や競合から見えている部分だけでなく、見えない部分にも目を配り、ビジネスモデルの「真の強み」を考察する。「どこに注意してビジネスモデルを構築したら良いかわからない」と悩む経営者諸氏には、ぜひ参考にしてほしい。

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