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生え抜き経営者とプロ経営者、どちらがいいのか?

小杉俊哉
【第2回】 2016年8月23日
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なぜ、生え抜き経営者に変革は難しいのか?

 生え抜き経営者と外からやってくるプロ経営者を比較した場合、プロ経営者は過去のしがらみと無関係な分、大胆な変革が可能だ。

 その業界自体の経験がないことも普通で、業界の縛りや、慣習からも自由だ。客観的な視点で会社や業界を見ることができ、社内の人間には気づかない、その会社が長い間に作ってきたメンタルモデル(とらわれ、思い込み)などへの違和感を敏感に感じ取れる。したがって、前提条件なしに、正しいと思うことを合理的に実行することが可能だ。

 一方、一般的な生え抜き経営者がそのような変革を行うことは極めて難しい。なぜなら、変革には通常痛みが伴うからだ。

 自らを育ててくれた組織の風土を破壊してでもリストラクチャリングを行い、自分が長年一緒に働いてきた、同僚や部下を社外に放出しなければならないのだ。次の社長を指名するのは、前社長で、実力会長となっており、またその上にも実力相談役が居座られていたら、思うように手腕を振るえるはずはない。

 また、長く会社にいると、会社の論理や利益が世の中の常識や、法律よりも優先してしまうことも容易に起こる。そもそも何がずれているのかさえ、認識するのが難しい。

 また、強すぎる共同体意識により、コミットメントが行き過ぎる。東芝の不正会計事件、三菱自動車の燃費データ不正事件、東洋ゴム工業の免震ゴム性能偽装事件、東亜建設工業の滑走路工事などのデータ改ざん事件、旭化成建材のデータ偽装事件、などなど長年の間に形成された会社の体質が浮き彫りにされる事件が相次いでいる。

 コーポレイト・ガバナンス強化、社外取締役設置による外部監督機能の強化の取り組みは進んでいるはずだが、これらの事件が示しているように十分な抑止力とはなっていない。

 従って、企業が大胆な変革を行うためには、現状ではやはりプロ経営者を呼んで来る必要があるということではないか。

 グローバル企業ネスレが、成長鈍化に危機感を募らせ、新たな事業の柱を作るためにCEOに95年ぶりに外部の人材を迎えたのが象徴的だ。

 では、プロ経営者ならではの変革の手腕を具体的に見ていこう。

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小杉俊哉

合同会社THS経営組織研究所代表社員、慶應義塾大学大学院理工学研究科特任教授、立命館大学大学院テクノロジー・マネジメント研究科客員教授。 1958年生まれ。早稲田大学法学部卒業後、NECに入社。マサチューセッツ工科大学スローン経営大学院修士課程修了。マッキンゼー・アンド・カンパニー・インク、ユニデン株式会社人事総務部長、アップルコンピュータ株式会社人事総務本部長を歴任後独立。慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科准教授を経て現職。著書に『職業としてのプロ経営者』(クロスメディア・パブリッシング)等。


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日本人のグローバルにおける市場価値は非常に低い。人材の流動化促進により、プロ経営者を育てていくことがグローバル環境の中で日本の企業が発展するためにも必須ではないだろうか。企業側の視点で言えば、今の若者たちを「プロ経営者的発想」を持った人材として企業社内で育てることで、プロ経営者を招聘しなくても、社内から「プロ経営者」を出すことが可能になり、グローバル競争に勝ち抜く経営層を作ることができる。では、プロ経営者とはどのような経営者なのか。この連載では「プロ経営者という人材」について詳しく見て行く。

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