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「人まねをしない」「三方よし」「種をまく」
原理・原則を貫き通す真の経営者
オーシャン貿易社長 米田多智夫

週刊ダイヤモンド編集部
【第142回】 2011年3月4日
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オーシャン貿易社長 米田多智夫
Photo by Saori Umebara/REAL

 2009年9月、生鮮品の輸入販売商社、オーシャン貿易社長の米田多智夫は、ベトナムのホーチミンの病院でベッドに横たわっていた。現地子会社の建設現場で事故に遭い、頸椎を激しく損傷して四肢がまったく動かない状態だった。「うまくいっても一生車いすの生活になる」と現地の医者に宣告された。だが、米田は諦めなかった。

 「自分は会社の創業オーナー。全責任が自分にかかっている。絶対に治してみせる」──。

 米田の強い決意と執念が実を結び、世界で5本の指に入る脳神経外科の名医による緊急手術を経て、米田の手足は再び力を取り戻す。その名医をして、「不思議で仕方がない」と言わしめるほど、米田の回復は早かった。事故から1年数ヵ月後、びしっと背筋の伸びた米田の立ち姿からは、再起不能といわれた大ケガを負っていたことなど、まったく想像もつかない。

 「原理・原則を守っていれば、必ず結果はついてくる」。32歳で創業して以来、米田がずっと貫き通してきた信条だ。原理・原則とは、「人まねをしないこと」「三方(売り方、買い方、世間)よしの精神」「種をまくこと」を指す。

 奇跡的に見えるケガからの復帰も、毎朝50キロメートル自転車をこぎ、自宅のジムでトレーニングするなど「長年にわたって筋肉を鍛えてきた結果だ」と考えている。

 子どもの頃から動物が好きだった米田は、牧場経営が夢だった。牧畜会社で経験を積むため単身オーストラリアへ渡ったが、日本とは比較にならない広大な土地と規模を生かした牧畜業を目の当たりにして衝撃を受ける。「いずれ貿易が自由化されれば日本の牧畜業は立ちゆかなくなる」。将来を見越した米田は、1973年、その経験を生かして食肉を輸入する貿易商社を起業した。

人まねをしない
ブルーオーシャン戦略で大手商社に対抗

 当時食肉には輸入枠があって、食肉メーカーや大手商社が牛耳っており、新規参入は困難だった。「大手のまねをしていたら生き残れない」と考えた米田は、輸入枠からはずれたハラミやレバー、タンに目をつける。従来は捨てられていた部位だったため、ただ同然で仕入れられたうえ、市場に出回っていない稀少部位だったので価格競争もなかった。順調に滑り出したかに見えたが、すぐにまねする会社が出てきた。

 米田の決断は速かった。買い手が増えて仕入れ値が上がり始めた食肉に見切りをつけ、今度はニュージーランドの鯛に狙いを定めた。日本の鯛と形が似ていて、しかも群れが大きく、同じサイズのものがいっぺんに大量に獲れる点に着目したのだ。だが、これだけではすぐにまねされて食肉の二の舞いになる。そこで米田は、「活け締めにしたらもっといい値段で売れる」という顧客の声に差別化の道を見出し、現地に飛んだ。

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