トランプの暴言ツイートに仕込まれた「実は巧妙な」交渉術トヨタ自動車も標的となった、米トランプ新大統領による暴言ツイート。先進国のトップによるこうした行為は理解の範疇を超えているため、攻撃を受けた企業は右往左往するばかりだ Photo:AP/AFLO

トヨタから1兆円を取り付けた
トランプ「暴言ツイート」の威力

 今月20日にアメリカ大統領になるトランプ氏だが、そのツイート攻撃が企業経営者を直撃している。

 1月5日には日本のトヨタ自動車がターゲットになった。トランプ氏はトヨタがメキシコに建設を予定しているカローラ工場について「絶対だめだ」「国境税を課すぞ」とツイッターで脅しをかけたのだ。

 実はこのツイートには色々と事実誤認があって、たとえばトヨタが建設を予定していると指摘された場所がメキシコ国内の違う場所だったし、その工場で製造された自動車が米国向けに輸出されるわけではないそうだ。

 トヨタ自動車はこのツイートを意識して、1月9日に米国に対して今後5年間で1兆円を超える投資を行うことを発表した。米国での雇用創出を政策に掲げるトランプ大統領に対して、「我々は雇用を創出している」という真正面からのアピールをしたわけだ。

 我々日本人としては正論を言ったように見えるが、実際どうだろう。ゲーム理論的な観点から、この事件を再検証してみたい。