経営×経理

「クラウド会計に詳しいかどうか」で
顧問税理士を見直すべき理由

土井 今後、クラウド会計はどう変化していくと見ていますか?

実島 会計業界ではフィンテックへの関心が高まっていますが、すでにクラウド上で人事や顧客管理などさまざまなソフトが連携し始めています。そうなるとクラウド会計は会計ソフトを超えた存在として、新しい経営基盤の一角を担うものになります。

土井 たしかに、大企業や上場会社が数千万円かけてつくっていたシステムが、月々数千円、給与計算や請求書など関連ソフトを全部入れても2万円くらいで導入できるわけですから、中小企業でもきちんとした会計システムを自前でつくれる時代になったと感じます。

実島 ただし、さまざまなクラウドサービスを自社に適した形で連携させるには、上手に選択する必要があります。我々税理士は、そのコーディネーター的な役割を果たしていかなければいけません。

米津 クラウド会計に強いかどうかが、今後の税理士選びのキモになると。

米津良治(よねづ・りょうじ) 1983年生まれ。上智大学法学部卒。税理士。税理士法人ファーサイト・パートナー。上場企業にてIR職、経理職等を経て現職。企業勤務時代に社内横断の業務プロセス改善プロジェクトの中心メンバーとして活動したことをきっかけに、業務効率化にこだわりを持つ。早くからクラウド会計の優位性に着目し、研究を開始。わずか1年で30社以上のクライアントにクラウド会計を導入した実績を持つ。

実島 そのベースとして重要なのは、データの共有と即時的なコミュニケーションを中心とした「オンライン化」です。いまは、「聞きたいときが知りたいとき」。月に1度の訪問日まで社長さんの疑問が解消しないようでは、これからの時代、継続してお付き合いしていくことは難しいでしょう。いつでもチャットで即時に連絡をとって、すぐに応えられるような環境整備と信頼関係をつくることが大切だと感じます。

土井クラウド会計だと、離れていても同じデータを見て会話できます。その上でテレビ会議などをすれば、訪問することも少なくなりそうです。

実島 月に1度2時間面談するより、知りたいときに15分話すほうが、顧問先にとってもありがたく感じていただけるようです。昔は「顧問料を払っているのに、なぜもっと来ないんだ!」とよく言われたものですが、いまは「特別なことがなければ来なくていいよ」と言われる時代です。

従来型の会計ソフトは消滅する
クラウド時代の税理士との付き合い方とは?

土井 今回私どもが上梓した書籍『会計事務所と会社の経理がクラウド会計を使いこなす本』は、経理担当者と税理士の実務に即して、実際にクラウド会計を導入する際の手順や活用法を詳しく解説したものですが、顧問先へのクラウド会計導入に当たっては、導入の「前段階」でまだまだ壁を感じます。「お互いが同じデータを見て、資金繰りなどが危うくなる前にきちんと対応できるようになる」ということが、なかなかうまく伝えられません。実島さんの事務所では1600社ほどの顧問先のすべてにクラウド会計を導入されているようですが、経営者の方々にどのように説明して納得していただいたのでしょうか?

Special Columns

土井貴達 どい たかみち

1973年生まれ。関西大学商学部卒。公認会計士・税理士。 土井公認会計士・税理士事務所代表。2012年に大手監査法人金融部を退所し、独立。 監査法人勤務時代に実施していた取引先企業への貸付金、有価証券の査定業務に係る監査、 コンサルティング業務などを通じてあらゆる業種に精通。 独立後も、企業融資のサポートを得意としている。 独立直後からクラウド会計の導入を始め、クライアント企業への導入サポートは数十社に及ぶ。

米津良治 よねづ りょうじ

1983年生まれ。上智大学法学部卒。税理士。税理士法人ファーサイト・パートナー。上場企業にてIR職、経理職等を経て現職。企業勤務時代に社内横断の業務プロセス改善プロジェクトの中心メンバーとして活動したことをきっかけに、業務効率化にこだわりを持つ。早くからクラウド会計の優位性に着目し、研究を開始。わずか1年で30社以上のクライアントにクラウド会計を導入した実績を持つ。

河江健史 かわえ けんじ

1979年生まれ。早稲田大学商学部卒。公認会計士。河江健史会計事務所代表、FYI株式会社代表取締役。 監査法人、証券取引等監視委員会等での勤務を経て現職。 「クラウド会計は人材不足に悩む中小企業の救世主」という思いのもと、クライアントへの導入を進める。 主な共著に『リスクマネジメントとしての内部通報制度:通報窓口担当者のための実務Q&A』(税務経理協会)、 『国税庁「税務に関するコーポレートガバナンスの充実に向けた取組み」徹底対応 税務コンプライアンスの実務』(清文社)、 『インドネシアのことがマンガで3時間でわかる本』(明日香出版社)などがある。


「クラウド会計」は経営の生産性をどれだけ上げるのか?

2012年頃に登場し、わずか5年で100万社以上の企業が導入している「クラウド会計」。GmailやDropboxがあたりまえのようにビジネスの現場に普及しているように、今後、会計・請求・給与・経費精算などのバックオフィス系だけでなく、 顧客管理や在庫管理などあらゆる経営リソースがクラウド化していくことは間違いないと見られている。本連載では、クラウド会計をどう活用するか、企業の事例を中心に『会計事務所と会社の経理がクラウド会計を使いこなす本』(ダイヤモンド社)の著者の3人の税理士がインタビュアーとなって紹介する。

「「クラウド会計」は経営の生産性をどれだけ上げるのか?」

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