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一流の睡眠
【第17回】 2017年1月18日
著者・コラム紹介バックナンバー
裴英洙 [医師・MBA/ハイズ株式会社代表取締役社長]

睡眠不足で仕事すると
「アタマが悪い人」になる

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書籍『一流の睡眠』では、忙しいビジネスパーソンが仕事のパフォーマンスを落とさないための眠り方について、32の具体策を紹介しました。本稿では、逆の視点から、「十分な睡眠がとれていないと、どれくらいパフォーマンスが落ちるのか?」ということについて考えてみたいと思います。
(構成:山本奈緒子 聞き手:今野良介)

あなたは実力の「30%」しか
出せていないかもしれない

 絶好調のバリバリで能力をフルに発揮できるベストな状態を「100」だとすると、睡眠不足のとき、私たちの能力はどれくらい落ちるのでしょうか。私自身のキャリアと、臨床医としてたくさんの患者さんを見てきた経験からすると、「30」くらいまで落ちるといっても過言ではありません。

 私は臨床医であると同時に、医療コンサルティング会社を設立し、医療機関の経営支援やヘルスケア企業への医学的なアドバイザー業務を行なっています。数年前、ある会議に、ところどころコメントを求められるオブザーバーとして出席しました。ところが、このときの私は慢性的な睡眠不足が続いており、失礼ながら、目を開けているのも大変なほど、究極に眠たかったのです。

眠たいと「バカ」になる

 さて、この「超・眠たい私」がどういう状態になっていたか。

 まず、頭に入ってくる会議メンバーの話が断片的になります。カクンと頭が落ちるほどではなくとも、マイクロスリープと呼ばれる一時的な睡眠状態に何度も陥り、ところどころ記憶が飛んで、話し手の内容が一貫性を持って理解できないのです。だからと言って、話し手に「今の話、もう一回言ってくださいませんか?」などと言えるはずもありません。その方の話が非論理的であるわけではなく、単に私が眠たいのが理由ですから。

 さらにマズいことに、睡眠不足で眠い状態だと、聞く→理解する→話す、という思考プロセスのスピードが極端に低下します。話し手の話に反応しようとしても、相手の話を理解して考えて返答するという一連の流れに必要以上の時間がかかるため、「話す」に到達する頃にはすでに話題が2つほど先に進んでいる、ということになってしまうのです。

 もし、断片的な情報を無理やり組み合わせて話そうとすれば、ピントのズレたコメントになって、相手を困惑させてしまうでしょう。もう別の話に移っているのに突然2つ前の話を始めたら、場を乱すだけでなく、「空気を読めない人だ」と思われるかもしれません。

 さらに悪いことに、そういう状態のまま「気の利いたことを言わなくては」などと思って無理に発言しようとすると、「逆説の接続詞」を使いがちになります。「でも」とか「ところで」とか「それはそうかもしれないけど」から話を始めたくなるのです。自分が話についていけていないことがわかっているので、無理やり自分の発言に話題を引き寄せようとするためでしょう。ご存じの通り、逆説の接続詞は、相手に良い印象は与えません。

 さて、睡眠不足のこのような状態が他人の目にどう映っているかといえば、端的に言って「アタマの悪い人だな」という印象を与えます。私の場合は会議のオブザーバーでしたが、同じことが、面接や商談の場でも起こり得るでしょう。ビジネスパーソンにとって、これは致命的です。

眠い自分がどう見えているのか、自分ではわからない

 ちなみに私はその会議の間、自分の「アタマの悪さ」を露呈することを防ぐべく、できるだけコメントを求められないように、うつむいて黙っていました。しかし、話さないとますます眠くなります。眠気を我慢しながら黙っているという、最悪の状態でした。大事な仕事がある前日はしっかり寝なくてはいけないと、深く反省した一件です。

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裴英洙 [医師・MBA/ハイズ株式会社代表取締役社長]

はい・えいしゅ/医師・医学博士、MBA。ハイズ株式会社代表取締役社長。

 

1972年奈良県生まれ。 金沢大学医学部卒業、金沢大学大学院医学研究科修了。金沢大学医学部卒業後、金沢大学第一外科(現・心肺・総合外科)に入局し、大学病院や基幹病院を中心に、主に胸部外科(肺がん、心臓病など)に従事し、日々手術に明け暮れる。その後、金沢大学大学院に入学し、外科病理学を専攻し医学博士を取得。さらに、病理専門医を取得し、市中病院にて病理医として病気の最終診断にかかわり、年間1万件以上の重大疾病の診断をこなす。

また、医師として働きつつ慶應義塾大学大学院経営管理研究科(慶應ビジネス・スクール)にて医療政策・病院経営の第一人者の田中滋教授に師事。同ビジネス・スクールを首席で修了。フランスグランゼコールESSEC大学院交換留学。ビジネス・スクール在学中に医療機関再生コンサルティング会社を設立。多数の医療機関の経営支援、ヘルスケア企業の医学アドバイザー業務などを行なっている。 現在も医師として臨床業務をこなしつつ、臨床の最前線からのニーズを医療機関経営に活かすハンズオン型支援を行なう。

著書に『10の仕事を1の力でミスなく回すトリアージ仕事術』『なぜ、一流の人は「疲れ」を翌日に持ち越さないのか』(ダイヤモンド社)、『医療職が部下を持ったら読む本』(日経BP社)などがある。

 


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