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日本経済はなぜ最高の時代を迎えるのか?
【第8回】 2017年2月17日
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村上尚己

「投機マネー」を持ち出すアナリストの経済分析は当てにならない
「市場の後追い」しかできないアナリストの特徴とは?

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トランプ氏の当選後、ドル円相場では急ピッチで円安が進んだ。現在ではやや落ち着きを見せてきているものの、いまだに円安トレンドは続いている。しかし一方では、「この相場の動きは投機マネーによるもので、長続きはしない」といった声も聞かれる。

「トランプ相場」の到来を的中させた外資系金融マーケット・ストラテジストの村上尚己氏によれば、「投機マネー」の存在に訴える言説の多くは、市場の後追いしかできないエコノミスト/アナリストたちによるものであり、かえって彼らの無能を明かし立てるものだという。村上氏の最新刊『日本経済はなぜ最高の時代を迎えるのか?』から一部をご紹介しよう。

「投機マネー」という便利過ぎる口実

トランプ大統領が誕生してから、1ドル100円付近で推移していたドル円相場では、その後わずか10日余りで110円台にまで急ピッチにドル高・円安が進んだ。事前にこうなることを予想していたとはいえ、私自身もこれほど急激に円安が進む状況は正直想定していなかった。

為替の動きは、大まかな方向性(トレンド)については金融政策の動向などからある程度の見通しを立てることができるが、それが「短期的にどの程度動くか」ということになると、なかなか予想は難しい。

こうしたドル円の大幅な値動きを説明する際に、よく持ち出されるのが「投機マネー」である。やや定義が曖昧な言葉だが、特定のイベントをきっかけに短期的な値動き(たいていは数時間程度の)に賭ける投資資金を意味すると考えておけばいいだろう。そこで今回は、次の通説について考えてみたい。

[通説]「トランプ円安は短命。投機マネーの一時的な動き」

アナリストが投機マネーの存在を引っ張り出してくる理由は、大きく「2つ」ある。

まず一つは、「この急激な円安は、一部投資家が恣意的な売買によって引き起こしたものであり、予想できなかったとしてもやむを得ない」という印象を与えるためだ。これにより、批判の矛先を自分たちから「投機筋」に逸らすという狙いがある。

もう一つは、これが一部の人間たちが仕掛けた人為的な値動きに過ぎず、経済の実情を反映した趨勢的なトレンドではないことを強調するためである。「この円安は投機マネーによるものだ」というコメントには、同時に「したがってこの円安は長続きしない。一時的なものである」という含意がある。つまり、「最終的には自分が立てた予測どおり円高になるだろう」と言いたいわけだ。

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村上尚己(むらかみ・なおき)

アライアンス・バーンスタイン株式会社 マーケット・ストラテジスト
1971年生まれ、仙台市で育つ。1994年、東京大学経済学部を卒業後、第一生命保険に入社。その後、日本経済研究センターに出向し、エコノミストとしてのキャリアを歩みはじめる。
第一生命経済研究所、BNPパリバ証券を経て、2003年よりゴールドマン・サックス証券シニア・エコノミスト。2008年よりマネックス証券チーフ・エコノミストとして活躍したのち、2014年より現職。独自の計量モデルを駆使した経済予測分析に基づき、投資家の視点で財政金融政策・金融市場の分析を行っている。
著書に『日本人はなぜ貧乏になったか?』(KADOKAWA)、『「円安大転換」後の日本経済』(光文社新書)などがあるほか、共著に『アベノミクスは進化する―金融岩石理論を問う』(原田泰・片岡剛士・吉松崇[編著]、中央経済社)がある。また、東洋経済オンラインにて「インフレが日本を救う」を連載中。


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