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金融市場異論百出

急激な円高より警戒される
円安と国債暴落のシナリオ

加藤 出 [東短リサーチ取締役]
2011年3月30日
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 3月18日にG7は、急激な円高を阻止するための協調介入の実施で合意した。ただし、海外の通貨当局が円売り介入を行える金額は限られている。円の外貨準備をさほど持っていないためだ。米国の場合、財務省が管理するESF(為替安定化基金)とFRBがそれぞれ120億ドル相当の円を持つ。つまり、米当局が実施できる円売り介入は、最大で240億ドルしかない。日本円に換算すれば1.9兆円規模、日本政府なら1日で使い切ってしまう額だ。

 日本政府にとって円売り介入は自国通貨売りのため、他国に比べ大規模な実施が可能である。よって、協調円売り介入といっても、実際は、日本の実施額が圧倒的に大きいことになる。とはいえ、G7が「悲劇的なイベント」に見舞われた日本をサポートする姿勢を明確にしたということは、日本政府が一段の円高を阻止するための円売り介入を単独で実施しても当面は黙認してくれることを意味している。さすがに大幅な円安誘導は許容されないと思われるが。

 多くの金融機関、企業にとって3月末の株価は非常に重要。そのため、日経平均に悪影響を与える急激な円高を阻止する必要がある。しかし、日本の財務省が内心警戒しているのは、じつは円高よりも円安と国債暴落だろう。資源価格が高騰している現在、海外からそれらを大量に買う必要がある日本にとって円高は悪くない面がある。

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加藤 出 [東短リサーチ取締役]

東短リサーチ取締役チーフエコノミスト。1988年4月東京短資(株)入社。金融先物、CD、CP、コールなど短期市場のブローカーとエコノミストを 2001年まで兼務。2002年2月より現職。 2002年に米国ニューヨークの大和総研アメリカ、ライトソンICAP(Fedウォッチ・シンクタンク)にて客員研究員。マネーマーケットの現場の視点から各国の金融政策を分析している。2007~2008年度、東京理科大学経営学部非常勤講師。2009年度中央大学商学部兼任講師。著書に「日銀は死んだのか?」(日本経済新聞社、2001年)、「新東京マネーマーケット」(有斐閣、共著、2002年)、「メジャーリーグとだだちゃ豆で読み解く金融市場」(ダイヤモンド社、2004年)、「バーナンキのFRB」(ダイヤモンド社、共著、2006年)。


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