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社会貢献でメシを食う。NEXT 竹井善昭

キレイになって、途上国を支援! 女性の飽くなき「美への探求」が生んだ、一石二鳥のビジネスモデル

――社会貢献に新たなキーワード 「ビューティーで社会貢献」

竹井善昭 [ソーシャルビジネス・プランナー&CSRコンサルタント/株式会社ソーシャルプランニング代表]
【第16回】 2010年3月16日
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 「女性の社会貢献熱が凄い!!」と、これまでに何度も言ってきた。昨年夏には、女性誌が軒並み「社会貢献特集」を組んでいることをレポートしたが、今年に入ってもその勢いはまったく衰えていない。

 そんなことを伝えていると、「なぜ、女性は社会貢献に熱心なのか?」という質問をよく受ける。理由はいろいろあるが、社会貢献の重要なテーマのひとつに、女性支援というものがあって、それも大きな理由のひとつではないかと思っている。

 世界にはまだまだ多くの女性が抑圧されていて、地域や文化圏によっては女性は、浮気をすれば殺され、女の子に勉強を教えれば殺され、女性として生まれたというだけで出生直後に殺されたりする。嫁が死ねば新しい花嫁が持参金を持ってやってくるというわけで、現在の嫁を焼き殺したりもする。生きている場所によっては、女性として生きることは文字通り、命がけなのだ。

「女性の美」と「女性の解放」が連動?
途上国支援の新たなキーワード

 そこまでハードコアな女性抑圧ではなくても、途上国の少女が学校に行くのはたいへんなことだったりする。ユネスコの推計によれば、世界中で読み書きできない人たちは約7億7000万人。このうち、3分の2が女性。女に教育は要らないと考える親がまだまだ多いということでもある。(たいていの場合、それは父親だ)

 実は、この日本においてさえ30年ほど前まではそうだった。日本の女性が普通に4年制大学に進学できるようになったのは1980年代に入ってからで、それまでは良家のお嬢様は短大に進学するものだという「常識」もあった。安倍元首相の奥様の昭恵さんが短大卒なのも、そんな理由からだろう。

 だから4大卒の女性は就職も不利。結婚も不利になるから、3年生になるとお見合いをするのが普通。そんな時代が、この日本でも30年くらい前まであったのだから、途上国において女性が教育を受けるということがどれほど大変か、想像いただけると思う。

 しかし、いっぽうで女性に対する教育が、途上国の貧困のサイクルを断ち切り、乳幼児の死亡率を低下させ、エイズやマラリアなどの伝染病を撲滅することに最も効果があることは、世界銀行や国連などの調査でも分かっている。であれば、女性が女性のために何かをしようと考えるのは自然の流れだ。ほとんどの女性誌が社会貢献に熱心に取り組んでいたり、数多くのラグジュアリー・ブランドがNGOを支援したりする。

 そしてまた、女性は「美しくなること」に対して非常に熱心だ。「カンダハール」という映画があって、タリバン政権下のアフガニスタンからカナダに亡命した女性ジャーナリストが、妹の命を救うために再度、アフガニスタンに入りカンダハールを目指して旅する映画だが、その中に女性の化粧に対する業とも言うべきモノを見せつける印象的なシーンがある。

 旅の途中で主人公はバスに乗る。タリバン政権下なので、乗り合わせた女性の乗客は全員がブルカを着用している。つまり、他人からは顔も肌も見えないのだが、それでも女性たちはブルカの下でルージュをひき、マニキュアを塗る。彼女たちにとって化粧とは、自分自身の意識の問題なのだったのだ。

 この女性の「自分自身の意識」というのは社会的な意識でもある。なぜなら、「社会性の獲得」=「女性の抑圧からの解放」だからだ。特に20世紀以降、「女性の美」と「女性の解放」は連動していた。シャネルもミニ・スカートも女性の抑圧からの解放だったし、ジーンズとTシャツもユニ・セックスという当時としては革命的な「男女同権思想」を象徴するファッション・アイテムだった。

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竹井善昭 [ソーシャルビジネス・プランナー&CSRコンサルタント/株式会社ソーシャルプランニング代表]

マーケティング・コンサルタントとしてクルマ、家電、パソコン、飲料、食品などあらゆる業種のトップ企業にて商品開発、業態開発を行なう。近年は領域を社会貢献に特化し、CSRコンサルタント、社会貢献ビジネスの開発プランナーとして活動。多くの企業にてCSR戦略、NGOのコミュニケーション戦略の構築を行なう。「日本を社会貢献でメシが食える社会にする」ことがミッションに、全国各地で講演活動を行なう。ソーシャル系ビジネスコンテストや各種財団の助成金などの審査員多数。また、「日本の女子力が世界を変える」をテーマに、世界の女性、少女をエンパワーメントするための団体「ガール・パワー(一般社団法人日本女子力推進事業団)」を、夫婦・家族問題評論家の池内ひろ美氏、日本キッズコーチング協会理事長の竹内エリカ氏らと共に設立。著書に『社会貢献でメシを食う。』『ジャパニーズスピリッツの開国力』(いずれもダイヤモンド社)がある。

株式会社ソーシャルプランニング
☆竹井氏ブログ 社会貢献でメシを食う〝REAL(リアル)〟
☆Twitterアカウント:takeiyoshiaki


社会貢献でメシを食う。NEXT 竹井善昭

CSRやコーズマーケティングをはじめ、「社会貢献」というテーマがポピュラーとなったいま、「社会貢献のセカンドウェーブ」が来ている。新たなサービスやプロジェクトのみならず、新たな主役たちも登場し始めた。当連載では話題の事例を取り上げながら、社会貢献的視点で世の中のトレンドを紹介していく。
*当連載は、人気連載『社会貢献を買う人たち』のリニューアル版として、2014年1月より連載名を変更しました。

「社会貢献でメシを食う。NEXT 竹井善昭」

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