東日本大震災は、1995年の阪神・淡路大震災をも大きく上回る、想像を絶する大惨事となった。だが、これから東北地方が復旧・復興への歩みを進めるにあたって、参考になるのもまた、わずか16年前に起こった阪神・淡路大震災だろう。1986年から15年にわたって兵庫県知事を務めた貝原俊民ひょうご震災記念21世紀研究機構理事長に、復興に向けた経験・知見を聞いた。
(聞き手/ダイヤモンド・オンライン客員論説委員 原 英次郎)

かいはら としたみ/1933年生まれ。56年東京大学法学部卒、自治省(現総務省)入省、70年兵庫県課長、74年同部長、80年同副知事、86年兵庫県知事に当選、「こころ豊かな兵庫」をめざして県政を展開。2001年7月退任。06年4月から現職。

――被災してから復興までに、いくつかのステージがあると思いますが、現在、被災地はどのような状況にあるとみていますか。また、これからどのような課題に直面することになりますか。

 地震、津波、原発という3つの複合災害なので、直面している状況は厳しい。この機構からも被災地に人を派遣していますが、2週間たった段階でも、阪神・淡路の3日めのような状況が続いているという報告を受けています。

 阪神・淡路と比べると、人口やGDPについては、被害の大きかった岩手、宮城、福島の3県と兵庫県はほぼ同じですが、とにかく被災地の面積が広いこと、津波によって根こそぎ破壊されていること、原子力災害が続いているという点が決定に違いますね。

長期の復興ビジョンについては
時間をかけて進めた方がよい

 その点では非常に厳しい状況ですが、住宅、インフラ、産業復興については時間をかけておられないので、私どもはこの3点に集中した「緊急3ヵ年計画」をつくって、復興対策をやりました。その後、10年ほどをかけて、将来に向けた新しい事業など立ち上げて復興を進めてきました。