今、Googleの検索欄に、「千歳」「中国人」という日本語のキーワードを入れてみると、検索単語の予測候補として自動的に現れるのは、こんな言葉である。
「千歳 中国人 暴れる」「千歳 中国人 海外の反応」「千歳 中国人 暴動」「千歳 中国人 航空会社」「千歳 中国人 騒ぎ」「千歳 中国人 欠航」「千歳 中国人 反応」……。
昨年12月22日から24日にかけて大雪に見舞われたため、新千歳空港では航空便の欠航が発生した。一時、1万6000人もの人々が空港に足止めされ、空港ターミナル内で3日間にわたって滞在を余儀なくされた人も多く、空港は大混乱になったという(後述する西本紫乃さんのレポートによる)。そのなかで、一部の中国人乗客が航空会社と衝突した。
それを「騒ぎ」ととらえて報道した日本メディアの記事に出てくるのが、冒頭のようなキーワード群なのである。
日本のメディアに出ている最初の一連の報道記事を読むと、いつものように中国人観光客を悪者にする報じ方と過激な言葉が目立つ。中国国内でもこうした報道を受けて、同胞はまた海外で馬鹿げたことをした、といった批判の声が上がった。「騒ぎに出た人間はそのまま海外に追放せよ」といった過激な声も出ているぐらいだ。
問題を起こしたのは
どの会社のどの便だったのか
しかし、当初から私が不思議に思っていることがある。中国系航空会社とか、航空会社とかの表現はあるが、どの航空会社のどの便についてはほとんどの記事が触れていない。航空会社からの抗議を恐れたためのメディアの自衛手段だろうと思った。
ただ、時間が経つに連れ、新千歳空港で実際に何が起きたのかといった情報が次第に伝わってきた。まず、欠航で問題を起こした航空会社は中国国際航空、キャセイパシフィック航空(日本航空との共同シェア便)、中国海南航空傘下の香港航空だ。