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出口治明の提言:日本の優先順位
【第2回】 2011年4月12日
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出口治明 [ライフネット生命保険(株)代表取締役会長]

最優先の課題は福島第一原発事故の沈静化である

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今回は福島第一原発事故の問題を取り上げてみたい。なぜなら、震災復興の行く手に形容しがたい不安を投げかけているのは、発生後1ヵ月を経過して今なお原発事故が沈静化する目途が立っていないからであり、復旧の工程表が明らかにされていないからである。その意味で、原発事故はすでに放射性物質の拡散という不安のレベルを超えて、市民のこの国の先行きに対する漠然とした心理的な不安を増幅するあらゆる問題の根源的な発生源と化しているのである。なお、前回述べたことではあるが、私は原子力についてはまったくの門外漢であり、以下に述べることは、あくまで市井の一市民の素人の見解に過ぎないことを初めにお断りしておく。

原発事故はどうして起こったのか

 ところで、最初に今回の原発事故の概要を簡単におさらいしておきたい。原子力発電所の中核をなす原子炉は、強い発熱性を持つため、その周辺に水を循環させ常時冷却することによって安定的な稼働を確保している。そして、冷却水の循環を始めとする原子炉の制御システムは、電力によって動いている。福島第一原発は、今回の大津波によって電源が損傷したため、この制御システムが働かなくなったのである。第二原発は設計が新しく、電源がより手厚くカバーされていたため損傷が少なく事故には至らなかった。

  その結果、大震災発生当時運転中であった1号機、2号機、3号機については、原子炉内の温度が急上昇し、炉心の燃料棒が損傷して多量の放射性物質が原子炉を収める圧力容器やその外側にある格納容器に漏れ出したようだ。同時に格納容器内の水蒸気の圧力が高まって爆発の危険性が出てきたので、格納容器の弁を開けて放射性物質を含む水蒸気を大気中に排出する「ベント」を行わざるを得なかった。これが、大気中の放射性物質の濃度が一時的に急上昇した一因でもある。

 またこのプロセスで建屋内に漏れ出した水素によって、1号機と3号機では水素爆発が起こって建屋も大きく損傷した(この際にも放射性物質が大気中に放出された)。現時点(4月11日)の推定では、1号機、2号機、3号機の圧力容器に一部損傷の可能性があり、2号機は格納容器についても一部損傷の可能性があると見られている。これらの原子炉については外部から水を注入して冷却することが必要であり、また水素爆発を防ぐために格納容器への窒素ガスの注入も始められている(同様に放射性物質が放出された)。

 使用済の燃料棒は、原子炉から取り出されて別途燃料プールで保管されているが、燃料プールも原子炉同様に冷却する必要がある。そしてこの冷却システムも電力によって動いている。4号機は、震災発生当時原子炉自体は定期検査のため停止中だったが、多量の使用済み燃料棒をプールに保管していたため、温度が急上昇して燃料棒が損傷し水素爆発を起こして建屋が損傷した。

 これらの4機については、海水(当初)や真水の大量放水や注水が実施され、現在も継続中である。電源こそ復旧(通電)したものの、原子炉や燃料プールの周辺に安定的に冷却水を循環させる制御システムの復旧にはまだ目途が立っていない。

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出口治明 [ライフネット生命保険(株)代表取締役会長]

1948年、三重県美杉村生まれ。上野高校、京都大学法学部を卒業。1972年、日本生命保険相互会社入社。企画部や財務企画部にて経営企画を担当。生命保険協会の初代財務企画専門委員会委員長として、金融制度改革・保険業法の改正に従事。ロンドン現地法人社長、国際業務部長などを経て同社を退職。その後、東京大学総長室アドバイザー、早稲田大学大学院講師などを務める。2006年にネットライフ企画株式会社設立、代表取締役就任。2008年に生命保険業免許取得に伴い、ライフネット生命保険株式会社に社名を変更、同社代表取締役社長に就任。2013年6月24日より現職。主な著書に『百年たっても後悔しない仕事のやり方』『生命保険はだれのものか』『直球勝負の会社』(以上、ダイヤモンド社)、『生命保険入門 新版』(岩波書店)、『「思考軸」をつくれ』(英治出版)、『ライフネット生命社長の常識破りの思考法』(日本能率協会マネジメントセンター)がある。

ライフネット生命HP

 


出口治明の提言:日本の優先順位

東日本大地震による被害は未曾有のものであり、日本はいま戦後最大の試練を迎えている。被災した人の生活、原発事故への対応、電力不足への対応……。これら社会全体としてやるべき課題は山積だ。この状況下で、いま何を優先すべきか。ライフネット生命の会長兼CEOであり、卓越した国際的視野と歴史観をもつ出口治明氏が、いま日本が抱える問題の本質とその解決策を語る。

「出口治明の提言:日本の優先順位」

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