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ギリシャの「借金棒引き」見通しはEU崩壊の序曲?
欧州ソブリン・リスク再燃が物語る“重大な意味”

真壁昭夫 [信州大学教授]
【第173回】 2011年4月26日
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東日本大震災に関心が集中する傍ら、
気づけば欧州で「ソブリン・リスク」が再燃

 わが国の大震災に心を奪われていた間、EU内部でもソブリン・リスクが再燃している。一部の経済専門家の間では、「ソブリン・リスクは、EUが抱える根本的な問題点が表面化したもので、今後問題はさらに拡大する可能性が高い」との指摘も出ている。

 足もとの金融市場で話題に上がっているのは、ギリシャの債務再編(ヘアーカット)=債務の一部減免に関する観測だ。EUの高官の1人は、「今まで、ギリシャなど特定国の債務再編はEU内部で取り上げられたことはなく、今後もその可能性はない」と債務再編の可能性を明確に否定する。

 一方別の高官は、「今後、ギリシャは債務再編をせざるを得ない。現在の状況では、今年の夏場を越すことができないだろう」と発言している。EU内部での議論の進展はわからないが、金融市場では「ギリシャが借金の棒引きを提言するのはほぼ時間の問題」との認識が大勢を占めている。

 EU内部のPIIGS(ポルトガル、アイルランド、イタリア、ギリシャ、スペイン)のソブリン・リスクを、それぞれの国の固有問題と見ることは適切ではない。何故なら、生産性や産業構造の異なるいくつもの国の経済を、単一の通貨と金融政策で運営しようとすること自体に問題があるからだ。

 つまり、経済の規模も文化も大きく異なる国を、1つの国の経済のように運営することには、そもそも大きな矛盾があるということだ。

 EU内のソブリン・リスクの高まりは、そうした問題が鮮明化したに過ぎないと捕らえるべきだ。これからEU内部のソブリン・リスクは、世界経済にとって大きな阻害要因になることが考えられる。

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真壁昭夫 [信州大学教授]

1953年神奈川県生まれ。一橋大学商学部卒業後、第一勧業銀行(現みずほ銀行)入行。ロンドン大学経営学部大学院卒業後、メリル・リンチ社ニューヨーク本社出向。みずほ総研主席研究員などを経て現職に。著書は「下流にならない生き方」「行動ファイナンスの実践」「はじめての金融工学」など多数。


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