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出口治明の提言:日本の優先順位
【第4回】 2011年4月26日
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出口治明 [ライフネット生命保険(株)代表取締役会長]

「自動販売機は不要だ」という価値観の押し付けは、
「贅沢は敵」と紙一重である。

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 夏の首都圏の電力需要は、ピーク時でおよそ6000万キロワット前後と見込まれている。これに対して大震災で大きな痛手を受けた供給サイドは、東電が懸命に供給量を積み上げてはいるものの、現時点では5000万キロワット前後がせいぜいではないかと見られている。すなわち、約1000万キロワット、率にして15%程度の需給ギャップが存在しているという計算になる。

需給ギャップを埋めるためには2つの方法がある

 電力の需給ギャップについては、供給量を短期間に増やすことはそう簡単にはできないので、停電を避けるためには需要サイドを調整(節電)する必要がある。そして、そのためには大別して2つの方法がある。

 1つは、市場を活用する方法である。平たく言えば、たとえば今年の夏に限って、電力料金を値上げするやり方である。要するに価格メカニズムを介して需要を減少させるという方法である。

 もう1つは統制経済的なやり方である。工場等の大口需要者に対しては電力制限令を発動して節電を強制し、その他の需要者に対しては目標値(たとえば25~15%カット)を設定し、自主規制等を通じて節電を達成しようとするものである。

 前者については、あれほどの大事故を起こした東電に安易な料金値上げを認めてよいのかという素朴な感情論が必ずつきまとうため、あまり声高に主張する人はいないように見受けられる。しかし、少し冷静に考えてみると、東電に対する責任追及の問題と、今年の夏の電力の需給ギャップを調整する問題はまったく別個の問題であることは自明ではないだろうか。供給サイドにボトルネックが生じて受給ギャップが確実に存在する中で値上げを図ることは、需要サイドに強い節電のインセンティブをもたらし、かつそれが中長期的に見ればイノベーションにつながっていく。このことは、2度の石油ショックを通じてわが国経済が身を持って経験したところである。

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出口治明 [ライフネット生命保険(株)代表取締役会長]

1948年、三重県美杉村生まれ。上野高校、京都大学法学部を卒業。1972年、日本生命保険相互会社入社。企画部や財務企画部にて経営企画を担当。生命保険協会の初代財務企画専門委員会委員長として、金融制度改革・保険業法の改正に従事。ロンドン現地法人社長、国際業務部長などを経て同社を退職。その後、東京大学総長室アドバイザー、早稲田大学大学院講師などを務める。2006年にネットライフ企画株式会社設立、代表取締役就任。2008年に生命保険業免許取得に伴い、ライフネット生命保険株式会社に社名を変更、同社代表取締役社長に就任。2013年6月24日より現職。主な著書に『百年たっても後悔しない仕事のやり方』『生命保険はだれのものか』『直球勝負の会社』(以上、ダイヤモンド社)、『生命保険入門 新版』(岩波書店)、『「思考軸」をつくれ』(英治出版)、『ライフネット生命社長の常識破りの思考法』(日本能率協会マネジメントセンター)がある。

ライフネット生命HP

 


出口治明の提言:日本の優先順位

東日本大地震による被害は未曾有のものであり、日本はいま戦後最大の試練を迎えている。被災した人の生活、原発事故への対応、電力不足への対応……。これら社会全体としてやるべき課題は山積だ。この状況下で、いま何を優先すべきか。ライフネット生命の会長兼CEOであり、卓越した国際的視野と歴史観をもつ出口治明氏が、いま日本が抱える問題の本質とその解決策を語る。

「出口治明の提言:日本の優先順位」

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