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街歩きがもっと面白くなる!東京23区の商店街―データでわかるパワーと魅力

練馬区の商店街――計画なき人口拡大で疲弊した専門商店が進める「巻き返し作戦」

池田利道 [一般社団法人東京23区研究所 所長],小口達也 [一般社団法人東京23区研究所 上席研究員],東京23区研究所,フィルモア・アドバイザリー
【第19回】 2011年4月27日
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 雑木林に咲くカタクリの花。日本の原風景の1つだ。今ではすっかり珍しくなったこのカタクリの自生群落を、練馬区内で見ることができる。

 緑被率26%、全区の4分の1以上が緑で覆われている練馬区には、民有地を開放した「市民緑地」が50ヵ所もある。23区随一の規模を誇る農地も、都市の貴重な緑だ。残っているのではない。積極的に緑を残し、増やそうとしている。そんな練馬区だから、商店街も自然の恵みと対にある。

計画なきまま農地が次々に宅地化
スプロールの後遺症に悩み続ける商店街

 人口が世田谷区に次いで多い練馬区だが、「もはや戦後ではない」と言われた1955年の人口は、21位に過ぎなかった。練馬区の人口が2位に浮上するのは、1996年のこと。実に、41年間で19区をゴボウ抜きにしたのだ。この間の人口増加率は3.4倍、人口増加数は45万人。すさまじい急増ぶりを記録した。

 問題は、人口の増え方にあった。計画なきまま農地が次々に宅地化されるという「スプロール」が進んだのである。

 都市の形成と商店街の発展の間には、一定の秩序が必要とされる。スタート時点で秩序を欠いた練馬区の商店街は、今もその後遺症に悩み続けている。狭く曲がりくねった商店街の軒すれすれにバスがすれ違い、買物客が慌てて身を避ける姿は、その最たる例と言えるだろう。

 この問題は、商店街の実績にも影を落としている。人口1人当たりの販売額は、全小売店平均が22位、専門店は23位。衣料品専門店に至っては、23区平均の8分の1しかなく、最下位と言うだけでは済まない深刻さだ。比較的健闘している食料品専門店でも、ようやく17位止まり。人口が伸びても、商店街の売り上げ実績に結びついていない。

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池田利道 [一般社団法人東京23区研究所 所長]

一般社団法人東京23区研究所所長。東京大学都市工学科大学院修士修了。(財)東京都政調査会で東京の都市計画に携わった後、㈱マイカル総合研究所主席研究員として商業主導型まちづくりの企画・事業化に従事。その後、まちづくりコンサルタント会社の主宰を経て現職。

小口達也 [一般社団法人東京23区研究所 上席研究員]

一般社団法人東京23区研究所上席研究員。1978年より財団法人・東京都政調査会研究員、都市問題・自治体政策の研究に従事。87年より中央大学社会科学研究所・客員研究員、多摩地区の地域開発研究に従事。その後、フリーを経て現職。

フィルモア・アドバイザリー

2006年11月、海外機関投資家向けの独立系リサーチ会社として設立。現在は数値データのグラフ化・共有サイト「vizoo」、グラフ投稿サイト「Figit」の運営を行うほか、メディア向けにグラフを用いた特集記事等を配信。
フィルモア・アドバイザリー


街歩きがもっと面白くなる!東京23区の商店街―データでわかるパワーと魅力

世は空前の「街歩き」ブーム。老若男女を問わず街歩きの人気スポットとなっているのが、古きよき時代の風情が漂う商店街だ。世界一の都市圏である東京と、その中心となる23区。それぞれの区の「区民性」も異なれば、そこに根付く商店街にも、それぞれ別の「顔」がある。そんな商店街のなかには、廃れるどころか新しい時代のニーズを採り込み続け、絶えず進化し続けているものも少なくない。本特集では、その区に住む人、その区を訪れる人を惹きつけて止まない商店街にスポットを当てて、そのパワーと魅力について、区や商店街に関連したデータと共に紹介する。東京の街歩きを楽し見たい人は、必見!

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