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明暗分かれる新興国経済
悪環境下で生き残る「新たな論理」

真壁昭夫 [信州大学教授]
【第42回】 2008年8月19日
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 新興国とは、一般的に先進国と比較して経済発展の過程が低位にあり、今後、特定の条件を満たすことができれば、高い成長が見込める諸国と考えられる。その代表格がBRICsであることは、周知の事実である。

 新興国という言葉には、新しい夢を抱かせるような響きがある。それは、先進国にはない新しい可能性を感じさせるニュアンスがあるからだろう。わが国や米国、欧州諸国をはじめとする主要先進国は、すでに高成長期を過ぎて、「壮年期=安定性長期」に入りつつある。

 その代表が、人口減少局面入りし、少子高齢化が猛烈なスピードで進む、わが国と言えるかもしれない。多くの先進国は、社会全体がある種の安定的な状態に入って、経済を大きく押し上げる「エネルギー=ダイナミズム」が乏しくなりつつある。

 そんな先進国よりも、新しい“何か”を現実のものにしてくれる可能性を持つ新興国に、大きな魅力を感じるのは当然かもしれない。最近の世界経済の状況を見ていると、経済の中心が先進国から、新興国へとバトンタッチされているようだ。

 しかし、米国経済の減速が鮮明化しているのに伴い、最近、新興国を含む世界経済にブレーキがかかり始めた。インフレ圧力も根強く残っている。今後、成長基盤がしっかりした新興国と、そうでない新興国との「差」が明確になるだろう。これまでのように、「新興国であればどこでも“夢”が見られる」というわけには行かなくなる。

夢が溢れる国ばかりではない
そもそも新興国の定義とは?

 それでは、そもそも「新興国」の定義とは何か。実際は様々な定義がなされている。投資信託の「新興国ファンド」を例にとれば、運用担当者の主観的な基準に基づいて新興国が選定されるケースもあるようだ。

 その一方、最近ではIMF(国際通貨基金)の定義が使われることが多くなっており、市場関係者の中で少しずつ定着しているという。この定義では、“先進国”を、G7諸国、東欧をのぞく欧州諸国、アジアNIEs、オーストラリア、ニュージーランド、イスラエルなど31カ国として規定し、それ以外の国全てを“新興国”と決めている。つまり、世界的に見た場合、先進国とは限定列挙された31カ国のみで、それ以外の約140カ国が“新興国”ということになる。

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真壁昭夫 [信州大学教授]

1953年神奈川県生まれ。一橋大学商学部卒業後、第一勧業銀行(現みずほ銀行)入行。ロンドン大学経営学部大学院卒業後、メリル・リンチ社ニューヨーク本社出向。みずほ総研主席研究員などを経て現職に。著書は「下流にならない生き方」「行動ファイナンスの実践」「はじめての金融工学」など多数。


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