「仕事が進まない」「今日も残業だ」「結果が出ない」……こうした問題を、すっきり解決してくれる手法がある。PDCAを超スピードで回す「高速PDCA」だ。ソフトバンクでは6万人超の社員がこの手法を使い、わずか三十数年で8兆円企業を誕生させた。
華麗な躍進にばかり衆目が集まるが、その裏には、孫社長の緻密な戦略があった。
その舞台裏を、9年にわたり孫社長の右腕として活躍した元ソフトバンク社長室長・三木雄信氏の話題の新刊『孫社長のむちゃぶりをすべて解決してきたすごいPDCA』から一部抜粋して紹介する。

誰もが唖然とした「孫社長のひと言」

 普通は成功する可能性がありそうなこと、これまでの業界の流れから勝算が判断できることを試して、とても成功しそうにないこと、業界の常識から考えてやってもダメそうなことは試さないと思います。

 ところが、孫社長は、業界の非常識であっても、可能性がなさそうに思えても関係なしで、目の前のすべての方法を必ず試します。

 ソフトバンクが「Yahoo!BB」のサービスを開始した当初のこと。

 代理店の販売員たちを集めた孫社長は、こう言い放ちました。

「目が合ったら渡せ!」

 何のことやら意味がわからず、その場にいた全員がポカンとしました。

 しかし孫社長は真剣そのもの。赤い紙袋を片手に、身振り手振りを交えて、「こうやって渡すんだぞ」と熱のこもったレクチャーが続きました。