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金融市場異論百出

米当局の量的緩和が招いたドル安とガソリン価格上昇

加藤 出 [東短リサーチ取締役]
2011年5月11日
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 「あなたが食料品店に前回行ったのはいつですか?」。ダドリー・ニューヨーク連銀総裁が先日の講演で、基調的なインフレは低い、と話したところ、聴衆の1人からそういうツッコミが出た。

 FRBは物価動向を分析するときに、エネルギーや食品の価格を除いた「コア・インフレ率」を重視する。資源や穀物は海外要因や天候要因で一時的に大きく変動するからだ。3月の米消費者物価指数(前年比)におけるコア・インフレ率は+1.2%といまだ低い。

 しかし、3月のガソリンは27.5%、肉・魚・卵は7.9%も上昇した。中低所得層にとって、エネルギーや食品への支出の比率は大きい。彼らがそれらに苦しんでいるときに、FRB幹部がコア・インフレは安定していると誇らしげに語ることは反発を招く。しかも、FRBのいわゆる“QE2”(量的緩和策第2弾)が、国際的にコモディティ価格を押し上げた可能性があるため、ガソリン等の価格高騰は他人事ではない。

 米国の失業率はまだ高水準にあるが、1年前に比べれば改善を見せている。しかし、オバマ大統領の支持率はいま一つ上昇してこない。ギャラップ社調査のオバマ支持率は、昨年4月16~18日は48%だったが、今年4月17~19日は42%に低下した。インフレが影響しているのではないか? という解釈がワシントン関係者からたびたび聞こえるようになってきた。そういった気配を察知して、オバマ大統領は「ガソリン価格の上昇は投機のせいだ」と述べた。

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加藤 出 [東短リサーチ取締役]

東短リサーチ取締役チーフエコノミスト。1988年4月東京短資(株)入社。金融先物、CD、CP、コールなど短期市場のブローカーとエコノミストを 2001年まで兼務。2002年2月より現職。 2002年に米国ニューヨークの大和総研アメリカ、ライトソンICAP(Fedウォッチ・シンクタンク)にて客員研究員。マネーマーケットの現場の視点から各国の金融政策を分析している。2007~2008年度、東京理科大学経営学部非常勤講師。2009年度中央大学商学部兼任講師。著書に「日銀は死んだのか?」(日本経済新聞社、2001年)、「新東京マネーマーケット」(有斐閣、共著、2002年)、「メジャーリーグとだだちゃ豆で読み解く金融市場」(ダイヤモンド社、2004年)、「バーナンキのFRB」(ダイヤモンド社、共著、2006年)。


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