上場企業で異例の社長公募を新聞広告で行い、話題を呼んだユーシン。同社は“ビッグ3”をはじめ、世界の名だたる自動車メーカーにおいて、トップクラスのシェアを誇る日本の自動車部品メーカーだ。今、日本の製造業界はグローバル化が急務だ。というのも、かつて日本人にしか作れなかった物を、今や世界中の企業が作り始めているからだ。メイド・イン・ジャパンの不敗神話が過去の遺産となった今、グローバル化が進む世界市場で、日本企業はどんな人材を求め、どんな企業に生まれ変わろうとしているのか。ユーシン社長、田邊耕二氏に聞く。
30億の広告効果も!
1722名が応募した社長公募の機略
1934年2月1日生まれ。1956年4月日野自動車入社、1961年退社。1961年4月にユーシン入社、1965年2月同社取締役に就任。1976年2月に同社代表取締役専務を経て、1978年2月より同社代表取締役社長を務める。2006年7月同社最高顧問に就任。08年2月には、同社代表取締役社長に復帰し、現在に至る。
南 御社のグローバル改革路線のひとつとして、次期社長の公募は印象的でしたね。
田邊 英語を話せて、世界のこともよく分かる指導者の必要性から公募を行いました。条件は英語が堪能であり、年齢は30~40代、待遇は年収3500万円以上というものでした。あちこちで話題を呼び、1722名もの応募がありました。中にはある国の日本大使の方もいましたね。その話題性から、30億円規模の広告効果がありました。
南 広告効果と公募のための周知を兼ねる、すごい戦略だと感じました。
田邊 ヘッドハンティングするより人材の質が高いです。自分で会社を辞めて来るわけだから、覚悟も違う。結果として、8割以上がTOEICスコア900点以上でしたね。
南 今回、社長を採用するにあたり、経営者の価値を判断する時に、一番重要になる判断要素は何でしょうか?
田邊 経営者がグローバルな価値観を土台としているかどうかがまず大切です。国内の価値観ではなく、グローバルな価値観で会社の存在意義を語れること、導けることが重要ですね。
南 グローバルな価値観で会社を導くには、どうすればいいのでしょうか?