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菅首相の「浜岡原発停止要請」は唐突ではない
~阪神大震災の教訓から誕生した地震調査研究推進本部の研究成果が初めて原発事故抑止に生かされた
――福島原発震災 チェルノブイリの教訓(7)

坪井賢一 [ダイヤモンド社論説委員]
2011年5月18日
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 「チェルノブイリの教訓」も「福島の教訓」も、まったく意に介さない日本のリーダーの発言にはあきれた。

 首相による浜岡原発全原子炉停止要請について、5月9日の日本経団連・米倉弘昌会長の記者会見には本当に驚いた。

 まず日本経団連のホームページから当日の会長発言要旨を引用してみる。

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記者会見における米倉会長発言要旨
2011年5月9日
(社)日本経済団体連合会
【浜岡原発の全面停止要請について】
今回の政府の要請には、唐突感を否めない。国民が理解できるよう、要請に至った議論の経緯や根拠などを十分に説明すべきである。また、国民生活や企業活動が影響を受けることのないよう、政府は対応すべきである。また、世界各国は日本のエネルギー政策を注視しており、政府には、責任感をもった取り組みが求められる。
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 テレビのニュースで会見を見たが、米倉会長は話し言葉では次のように言っていた。

 「事故対応は極めて拙劣」
 「民主党政権になってから、結論だけが(ふふん)ポロっと出てくる。思考の過程がブラックボックス」
 「停止要請の根拠が、今後30年間に87%の確率で東海地震が起きることと言うが、確率論だけで停止要請は唐突」

 筆者が驚いたのは、鼻でせせら笑いながら大勢の記者の前で話していたことだ。

 菅首相のステートメントが説明不足といえばそのとおりだが、停止要請の根拠である「東海地震の発生確率87%」とは、政府自身が十数年前から公表しているものである。三陸沖の地震発生確率が低かった(三陸沖から房総沖の海溝寄りの津波地震は10年以内に7%)ので、「いい加減」とか、「他の原発だって同じだろう」とも言われている。

 しかし、日本列島はプレート(大洋底)が4枚折り重なる火山・地震列島であり、どこで大地震が起きてもおかしくないことはだれでも知っている。

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坪井賢一 [ダイヤモンド社論説委員]

1954年生まれ。78年早稲田大学政治経済学部卒業後、ダイヤモンド社入社。「週刊ダイヤモンド」編集長などを経て現職。著書に『複雑系の選択』『めちゃくちゃわかるよ!経済学』(ダイヤモンド社)『浦安図書館を支える人びと』(日本図書館協会)など。


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