東日本大震災から2ヵ月が経ちましたが、原発問題や仮設住宅建設の遅れなど、なかなか本格的な復興モードに達しない日本。時期を同じくして3月期決算の企業業績がほぼ出揃いました。
そこで本誌では、その深く鋭い爪あとが決算数字にどのように反映されているのかを緊急検証。加えて、今期の決算見通しを基に、混迷の企業業績の行方をいち早く分析します。
読みどころは、なんと言っても数々のランキングです。「最終赤字ワーストランキング」「売上高・純利益減少率ランキング」「震災関連特別損失ワーストランキング」……など震災のインパクトを表すものから、いち早く危機を乗り越え復活するのはどの企業かを占う「V字回復度ランキング」(2012年3月期の純利益予想を基に作成)、「株価回復率ランキング」など、様々な切り口でまとめ上げました。
震災前後の景況感がわかる「主要産業・製品別統計グラフ」や、「被災工場の復旧スケジュール」など、データも豊富に取り揃えています。
もちろん、個別企業の事例も徹底取材。トマト農家への見舞金を含めた震災による業績影響を最速で開示したカゴメや、テレビCMをAC(公共広告)に切り替えたことで20億円の特別損失を計上したキリンホールディングス、津波被害にあった工場の閉鎖・移転をスピード決断したレンゴーなど、いくつかのケースを取り上げています。
自粛ムードや電力不足に対する不安など、消費には逆風が吹いていますが、こんな時期だからこそ伸びる企業や商品にも注目しました。ビジネストレンドをつかめば、今の閉塞感から抜け出すヒントも見えるはずです。
大震災は日本経済に大きなダメージを与えました。基幹産業である自動車と半導体は、両者が絡み合って生産が止まり、混乱は海外にまで広がっています。しかし、このグローバル競争の時代に立ちすくんでいる暇はありません。日本企業のシェアを奪おうと、アジアなどの海外企業はすでに水面下で攻勢をかけています。
抜本的な経営戦略の見直しと、確実な実行が問われる日本企業。本特集が考えるためのエッセンスになるはずです。ぜひご一読ください。
(『週刊ダイヤモンド』編集部 柳澤里佳)