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出口治明の提言:日本の優先順位
【第9回】 2011年6月7日
著者・コラム紹介バックナンバー
出口治明 [ライフネット生命保険(株)代表取締役会長]

菅首相の最大の使命は、
「若い世代」に責任を引き継ぐこと

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 野党が提出した菅内閣不信任決議案は、民主党の小沢グループや鳩山前首相が賛意を表明したこともあって、可決の可能性が囁かれていた。しかし、6月2日、不信任決議案採決の直前に開かれた民主党の代議士会で、菅首相が「大震災に取り組むことに一定のめどがついた段階で、若い世代の皆さんに責任を引き継いでもらいたい」と退陣表明を行い、これを受けて鳩山前首相が「復興基本法を成立させ、第2次補正予算案の早期の編成にめどをつけていただきたい。その暁にご自身の身をお捨て願いたいと申し上げた。菅首相と鳩山で今のことで合意した」と述べたことにより、民主党内の造反の機運が一気に窄み、不信任決議案は大差で否決された。

 その後、菅首相がいったん表明した辞任意向を打ち消すような発言を続け、これに対して鳩山前首相が「ペテン師まがい」と激しく批判、与野党からもこれに呼応する意見が噴出し、政策空転の懸念が強まっている。 

今回の内閣不信決議案には
野党にも、与党の造反組にも大義がない

 東日本大震災への対応が急がれている中で、自民党や公明党等が内閣不信任決議案を提出したことには大義がないと考える。なぜなら、不信任決議案は、そもそも後継の首班(候補)を選定した上で内閣総辞職か解散かを迫るものであると考えるが、野党は後継を立てる素振りも見せず、また、現下のわが国が、総選挙を行えるような状況にはないことは火を見るよりも明らかであるからである。そして、そのような不信任決議案に同調を(一時的ではあっても)喧伝した政権与党内の造反グループにはもっと大義がないと思う。

 もちろん、このような緊急事態にあってなお不信任決議案を受けざるを得なかった菅内閣にも応分以上の責任があることは申すまでもない。わが国の政治の劣化は目を覆うばかりの惨状にある、と言ってもいいかも知れない。

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出口治明 [ライフネット生命保険(株)代表取締役会長]

1948年、三重県美杉村生まれ。上野高校、京都大学法学部を卒業。1972年、日本生命保険相互会社入社。企画部や財務企画部にて経営企画を担当。生命保険協会の初代財務企画専門委員会委員長として、金融制度改革・保険業法の改正に従事。ロンドン現地法人社長、国際業務部長などを経て同社を退職。その後、東京大学総長室アドバイザー、早稲田大学大学院講師などを務める。2006年にネットライフ企画株式会社設立、代表取締役就任。2008年に生命保険業免許取得に伴い、ライフネット生命保険株式会社に社名を変更、同社代表取締役社長に就任。2013年6月24日より現職。主な著書に『百年たっても後悔しない仕事のやり方』『生命保険はだれのものか』『直球勝負の会社』(以上、ダイヤモンド社)、『生命保険入門 新版』(岩波書店)、『「思考軸」をつくれ』(英治出版)、『ライフネット生命社長の常識破りの思考法』(日本能率協会マネジメントセンター)がある。

ライフネット生命HP

 


出口治明の提言:日本の優先順位

東日本大地震による被害は未曾有のものであり、日本はいま戦後最大の試練を迎えている。被災した人の生活、原発事故への対応、電力不足への対応……。これら社会全体としてやるべき課題は山積だ。この状況下で、いま何を優先すべきか。ライフネット生命の会長兼CEOであり、卓越した国際的視野と歴史観をもつ出口治明氏が、いま日本が抱える問題の本質とその解決策を語る。

「出口治明の提言:日本の優先順位」

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