
6月22日の国会の会期末まで1カ月を切った。最大の焦点は野党第1党の立憲民主党が内閣不信任案の提出に踏み切るかどうかにある。その不信任案について衆院副議長の玄葉光一郎が5月18日の立民の福島県連大会で大きく踏み込んでみせた。
「不信任案を提出すれば、かなりの確率で通る」
不信任案が可決されれば、首相の石破茂は内閣総辞職か衆院解散かの選択を迫られる。それだけに穏健な政治家として知られている玄葉発言は驚きをもって受け取られた。玄葉は立民代表の野田佳彦と同じ松下政経塾出身で、野田政権では外相を務めた側近でもある。玄葉が野田と事前に調整していたとみるのが自然だろう。
すでに野田は消費税に関して食料品について現行の8%を1年間だけ0%にする減税案を参院選の公約にする方針を示している。これに対して首相の石破、自民党幹事長の森山裕は「財源なき減税案」として強く反発。とりわけ森山は財政規律重視の立場をますます鮮明にする。17日には地元の鹿児島・中種子町で持論を展開した。
「ポピュリズムの政治をしてしまっては、国は持たない。付けは全て国民に返っていく。自民党の幹事長として正直な政治をしたい」
幹事長職を賭すとの覚悟表明といってよかった。この消費税減税だけでも不信任案提出の大義名分を十分に満たすが、新たに年金制度改革が次の争点として浮上した。石破は延ばし延ばしにしてきた年金制度改革法案を、16日になってようやく国会に提出した。今年は5年に1度の年金制度を抜本改革する年に当たっていたとはいえ、消費税と並んで自民党にとって“鬼門”ともいえ、自民党の参院議員が提出に強く抵抗してきたからだ。