石破首相の真意がブラックボックス化、参院選を待たずに大政変の可能性も4月25日の記者会見で、1年限定で食料品の消費税率を0%に引き下げる考えを示した立憲民主党代表の野田佳彦 Photo:JIJI

「困っている人に手を差し伸べなければ政治の役割を果たせない」――。立憲民主党代表の野田佳彦は4月25日午後の記者会見で1年間に限って8%の食料品の消費税率を0%に引き下げる考えを示した。野田は2012年、首相として「社会保障と税の一体改革」を推進した張本人。その原点ともいえる消費税減税は物価高の中での苦渋の決断だったことを訴えたかったようだ。

 野田が制定した消費税増税法は14年4月から、それまでの5%を8%に、さらに15年の10月に10%に引き上げるのが柱だった。法制定後の党首討論で野党自民党の総裁、安倍晋三が野田に衆院解散を迫った。ここで野田がたんかを切った。

「私は今週11月16日に衆院を解散してもいいと思っている」

 しかしこの一言が野田の命取りになる。選挙で大敗、野田に代わって首相に就任した安倍は8%への引き上げは法律通りに実施したが、10%への移行に際しては2度にわたって先送りした。1度目の先送りは14年11月。安倍は10%実施を1年半先延ばしすることを表明。その是非について国民の信を問うたのだった。

 そして2度目は16年の参院選直前。安倍は2年半先延ばしを表明した。さらに19年10月からの10%への移行が視野に入ってくると、今度は軽減税率の導入に踏み切った。食料品や新聞などは8%のまま、その他の物品、サービスなどは10%という複数税率を導入したのだった。こうして安倍は消費税率の引き上げを巡る節目で巧みに選挙戦略に消費税問題を取り込み、超長期政権を手にした。