ダイヤモンド社のビジネス情報サイト
三谷流構造的やわらか発想法

子どもの視点~ヒトの本能とモノの本質が見える

三谷宏治 [K.I.T.虎ノ門大学院主任教授]
【第10講】 2011年6月14日
著者・コラム紹介バックナンバー
1
nextpage

『∞プチプチ』は、こうして生まれた

 包装材のプチプチって知ってますよね。そう、ついプチプチやっちゃうあれです。

 一般名称は気泡緩衝材。1957年にアメリカの2人のエンジニアが失敗の中から発明しました。最初は(売れない)壁紙として、そして数年間の紆余曲折の後、商品を守る運搬用の緩衝材(*1)として。

 日本でも数社が気泡緩衝材を製造販売しています。『プチプチ』はそのリーダー、川上産業が持つ立派な登録商標なのです。

 これをオモチャにしたのが、バンダイです。

 名前は『∞(ムゲン)プチプチ』。数センチ角のプラスティックに8つのプチを配し、何回でもそのプチプチ感を楽しめる商品です。いや、プチプチ感「だけ」が楽しめる(*2) 、おもしろ商品です。

 バンダイの開発者 高橋晋平さんが身の回りに一杯ある気泡緩衝材を見ていて思いました。誰でもプチプチしたがるなら、存分にやってもらおう、と。

 それから川上産業との二人三脚での開発が始まりました。感触をどうするのか、音はどうするのか、試作品を作っては川上産業側と検討を続けました。何台も何台も…、開発期間がオーバーするほどに。

 2007年9月に発売(*3)された、∞プチプチは、200万台を超える大ヒット商品となりました。

子どもを見ればヒトの本能が見える

 プチプチする、という欲求を再発見したことがこの商品の根幹なワケですが、これは「本能です」と高橋晋平さんは言い切ります。

 「ヒトがプチプチしたくなるのは、仕方ないことなのだ」と。感触的本能、と言えるかもしれません。

*1 最初の顧客はIBMだったとか。2人が作ったシールドエア社は、今や世界51ヵ国に拠点を構え従業員2万人弱を擁する大企業へと成長。
*2 正確にはつぶしたときの音も楽しめる。ただし100回に1回は「プチッ」でなく「ぶっ」とか「イヤン」とか「ワンっ」とか言う。ちょっとしたミニゲームも付いている。
*3 当初は8月8日「プチプチの日」に合わせて発売する予定だった。プチプチの日、は川上産業が申請・登録したもの。

1
nextpage
関連記事
スペシャル・インフォメーションPR
クチコミ・コメント

DOL PREMIUM

PR
【デジタル変革の現場】

企業のデジタル変革
最先端レポート

先進企業が取り組むデジタル・トランスフォーメーションと、それを支えるITとは。

経営戦略最新記事» トップページを見る

最新ビジネスニュース

Reuters

注目のトピックスPR

話題の記事

三谷宏治 [K.I.T.虎ノ門大学院主任教授]

1964年大阪生まれ、福井育ち。小1のとき読書と読みかじりを人に教える快感に目覚め、駿台予備校では教えることの技術に衝撃を受ける。東京大学 理学部物理学科卒業後19年半、BCG、アクセンチュアで戦略コンサルタントとして働く。2003年から06年までアクセンチュア 戦略グループ統括。途中、INSEADでMBA修了。
2006年から教育の世界に転じ、社会人教育と同時に、子どもたち・親たち・教員向けの授業や講演に全国を飛び回る。「決める力」「発想力」と「生きる力」をテーマに毎年8000人以上と接している。現在K.I.T.(金沢工業大学)虎ノ門大学院 主任教授(MBAプログラム)の他に、早稲田大学ビジネススクール、グロービス経営大学院、女子栄養大学で客員教授、放課後NPO アフタースクール及びNPO法人 3keys 理事を務める。永平寺ふるさと大使。
著書多数。『一瞬で大切なことを伝える技術』(かんき出版)は啓文堂書店2012ビジネス書大賞、『経営戦略全史』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)はダイヤモンドHBRベスト経営書2013第1位、ビジネス書大賞2014大賞、『ビジネスモデル全史』(同)はHBRベスト経営書2014第1位となった。
HPは www.mitani3.com

 

 


三谷流構造的やわらか発想法

発想法ってなんのために存在するのでしょう? ヒトと違うアイデアや答えを出すためです。統計的に有意な戦略なんて、定義により無価値ですし、統計的に正しい発想法なんてあるわけがありません。発想に「普遍性」や「高確率」を求めるなんてそもそも矛盾しているのです。発想法も、然り。これまでと違うものを生み出すには、新しい発想法がいま求められているのです。

「三谷流構造的やわらか発想法」

⇒バックナンバー一覧