
転職を繰り返して順調に年収を上げていく人と、転職をしたのに希望の年収にならなかった人がいます。転職を繰り返す人の中で、成功する人と失敗する人の違いを解説します。(特定社会保険労務士、大槻経営労務管理事務所 武田正行)
転職を繰り返して年収を上げるBさんに
憧れて経営コンサルに転職したAさんの顛末
「またBさん転職したんだ。なんだか暮らしぶりがまた派手になった感じがする…そういえば前に会った時も『給料が上がった』って言ってたな…」
営業職のAさんは、元同僚であるBさんのSNS投稿を見て、うらやましく思いました。
「今の時代は転職も当たりまえ」「20代、30代のうちに転職して収入アップを目指そう!」
SNSにはこうした謳い文句の広告がいつも流れてきます。
「営業職のあなた。今までのキャリアを生かして、経営コンサルタントになりませんか?」「年収アップも期待できます」
何となく登録しておいた転職サイトから、こんなスカウトメールが来たのをきっかけに、Aさんは思い切って経営コンサルタント会社への転職を決断しました。当初は期待どおり年収もアップし、憧れていた「成功の階段」を登り始めたように見えました。
しかし、現実は甘くありません。その後はなかなか評価も上がらず、1年経っても2年経っても年収は上がりませんでした。Aさんは焦り出します。
「コンサルは向いていなかったのかも。むしろもう一度、営業職になれば3年近く頑張ったコンサル経験を生かして、営業成績トップも夢じゃないはず。成果報酬でボーナスが出る会社なら、年収だってグーンと上がるはず」
そう考えたAさんは再び転職活動を開始。しかし、現実はさらに厳しいものでした。応募した企業の選考はなかなか通らず、ようやく得た内定も提示された年収はかつての営業職時代より下がってしまったのです。
一方、Bさんは順調にキャリアを重ね、年収アップを継続しているように見えます。転職回数はAさんより多く、そのスパンは3年程度と、大きな違いはありません。にもかかわらず、なぜ2人には格差が出たのでしょうか。