「辞めないで頑張って」との激励も…
“決然と生きる”と記した菅首相の思惑

 菅直人首相は、5月11日、岩手県釜石市の被災地を視察。自民党員の漁業関係者から「辞めないで頑張って。ここに来る時間があるなら、早く予算を付けてほしい」と言われ、「必ず付けます」と答えたという。(12日 日経新聞)

 この激励を受けたときの菅首相の喜びは並大抵のものではなかっただろう。まさに「その言葉を聞くために来たんだ」という心境だったに違いない。

 その後、ボランティアセンターの寄せ書きに、「決然と生きる 菅直人」と書き込んだのは激励された効果だろう。

 首相は「辞めないで頑張って」という声を聞いて、意気揚々と帰京したはずだが、政権をめぐる環境は一段と厳しくなっている。

 外堀(反菅グループ)はもちろん、内堀(菅支持グループ)も既に埋められ、本丸(政府・与党幹部)も、首相に早期退陣を求め、文字通り孤立無援になりつつある。

 早期退陣こそ「決然と生きる」道だが、首相にとってはそうではない。何があっても首相を続けることが決然と生きることなのだろう。

 果たして、そのための秘策はあるのか。

不信任案の否決を“信任”に結びつけ、
一転して「通年国会」を主張

 最近の首相の発言から考えると、早期退陣への反論は3つに絞られてきている。すなわち、苦肉の3つの延命策である。

(1)内閣不信任案が大差で否決されたこと

 首相は、このことを国会で大声で強調した。「不信任案の否決は、信任されたと言うことだ」と言わんばかりであった。

 しかし、経過を知る世論は決して納得しない。代議士会での首相発言を、退陣表明と受け取ったからこそ、民主党の大半が反対にまわったことを知っているからだ。