休職中、Aのフェイスブック投稿が発覚!
社内の雰囲気は最悪…

「社長、大変です!これを見てください!」

 Aが休職してから1ヵ月が経とうとしていた頃、B課長が持ってきたスマートフォンの画面を見ると、そこにはAの写真がフェイスブック上に投稿されていたのである。

「今日の波は最高でした!ゴキゲンだぜ!イェイ!」

 サーフボードを立てかけて仲間たちと満面の笑みを浮かべている。文章を読むと、彼はハワイでサーフィン三昧の日々を過ごしていたのだ。

「どういうことだ?彼はうつ病で休職中のはずだったんじゃないか!?」

 周りの社員たちも、AのFB投稿を見て大騒ぎ。これまでAの仕事の穴を埋めるために、中には残業や休日出勤を余儀なくされた者もいた。課全員でAの職場復帰を待つべくフォローしてきたのに、皆が一様に裏切られた気持ちになった。

「Aなんか、このまま会社を辞めてしまえばいいじゃないか!?」とばかり、呆れは怒りに変わり、社内の雰囲気はみるみるうちに悪化した。困り果てたC社長は悩み抜いた挙句、大学時代の旧友でもあるD社労士に連絡をした。

「Aをクビにすることは可能だろうか?」
「おいおい……、社員はそう簡単にはクビにできないぞ。確かに休職中に海外旅行していたのは良くないが、それだけの理由で直ちに懲戒免職処分は難しいな」
「それじゃどうすればいいんだ?」
「まず、Aの家族に連絡を取って、Aに帰国後すぐ出社するように伝えてもらうんだ」

 その後のやり取りで、C社長がD社労士から受けたアドバイスは以下の内容である。

(1)Aにはこれまで知り得た状況を説明し、休職後、病院で治療を受けていたかを確認する。
(2)元気であれば仕事への復帰を促す。
(3)引き続き療養が必要であれば治療に専念させ、休職中の過ごし方のレクチャーを受ける。
(4)Aのこれまでの経緯とこれからの対応について、時系列で記録に残す。

 C社長は、早速Aの実家に連絡をした。1週間後、Aが出社すると、社長はAに声をかけた。

「フェイスブックを見たよ。ハワイに行っていたそうじゃないか。元気そうで良かったな。それなら、そろそろ仕事への復帰はどうだ?忙しくて困っているんだ」
「先ほどB課長を見かけましたが、やはり足がすくんでしまってダメです。もうB課長とは会いたくありません」

 さらに社長はAから話を聞くと、休職後、病院には1回も行ってないこと(ハワイに行っていたのだから当然である)、休職中は好きなことをしていいと思っていたことがわかった。D社労士の助言どおり、休職中の過ごし方についてのレクチャーや定期的な電話、メール、面談による状況確認、1日の過ごし方についての報告等がいかに必要であるかを身につまされた。確かにAの言動には反省すべき点が多々あるが、会社側の対応がきちんとできていなかったのも事実である。