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 子どもの戸籍は、婚内子と婚外子では大きく異なります。結婚している夫婦の間に子(婚内子)が産まれた場合、子は夫婦の戸籍に入り、子の戸籍の父親欄には夫、母親欄には妻の名前が記載されますが、必要な手続きは役所に出生届を提出するだけです。

 一方、婚外子の場合、子は通常、母親(今回の場合、結衣さん)の戸籍に入ります。この段階では子の戸籍の父親欄は空欄のままです。父親欄に彼氏の名前を記載するには、認知という手続が必要で、具体的には彼氏が認知届に署名をし、役所へ提出しなければなりません。

 万が一、彼氏が「本当に俺の子なのか」と言い出したら、出産後に親子かどうかを確かめるために、彼氏と産まれてきた子をDNA鑑定するなど、追加の手続きが必要になるところでしたが、今回の場合、彼氏が結婚しない見返りとして認知に協力すると自ら口にしたので、胎児の段階で認知することができたのです。

認知すれば父親には扶養義務
養育費の算定方法は?

 次に子の養育費ですが、前述の認知手続によって親子関係が発生したのですが、婚内子であれ婚外子であれ、父親は子に対して扶養義務を負っているので、彼氏は結衣さんに対して子にかかるお金のうち、まとまった金額を毎月、支払わなければなりません。複数の家庭(母親)にまたがって子が存在する場合、一例として家庭裁判所が公表している「新しい算定方式」(判例タイムズ1111号291頁)を用いて養育費を計算する方法があります(具体的な算定方法は以下の通り)。

1.算定方式における基礎年収(年収の0.4倍)を算出します。

2.本人(彼氏)は100、子どもは55とし、今回の子÷本人+前々妻の子+前妻の子+今回の子の係数を算出。彼氏の基礎年収に係数を掛けると「子どもの生活費」になります。

3.子の生活費×彼氏の基礎年収÷彼氏の基礎年収+結衣さんの基礎年収が妥当な養育費の金額です。