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日本を元気にする新・経営学教室

異なるタイプの人材の最適な組み合わせを
構想し実践する「人材アーキテクチャ」とは
神戸大学大学院経営学研究科教授 平野光俊

内田和成 [早稲田大学大学院商学研究科教授],成生達彦 [京都大学大学院経営管理研究部教授],平野光俊 [神戸大学大学院経営学研究科教授],髙木晴夫
【第22回】 2011年7月4日
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 前回のコラムでは、日本企業の人事部には、人を基軸に戦略を策定し変革を主導する「人材マネジメント型企業変革リーダー」の役割が求められていることを述べた。具体的には、雇用保障を堅持しつつ社員一人ひとりの志を聞き、全社最適の観点でラインときめ細かく人事情報を擦り合わせして、異動と配置を行い、それを経営パフォーマンス向上に繋げることである。

 ただし、人事部は全ての人材の異動に関与するわけではない。むしろキャリア開発の一切をラインに任せるべき人材もいるし、個人主導で自律的にキャリア開発を行う人材もいる。また人材の類型によって、適切な雇用形態や効果的なインセンティブ制度も異なる。今回のコラムでは、異なるタイプの人材をいかに組み合わせ処遇するのがよいかという問題、すなわち「人材アーキテクチャ」を考えてみたい。

「Make」か「Buy」の選択問題

 人材類型別管理のあり方を理論的・実践的に捉えようとするのが「人材アーキテクチャ」(human resource architecture)という考え方である。

 「アーキテクチャ」とは一般に人工物システムの構築に関わる設計構想であり、そのシステムの「切り分け方」と、分けた構成要素間の「つなぎ方」に関する基本的な考え方である。このような概念を用いて製品開発や組織改革の法則性を見出そうとする製品・組織アーキテクチャの研究も、盛んになってきた。

 同様に、アーキテクチャという考え方を雇用に応用するのが人材アーキテクチャ論であり、2000年前後からアメリカのみならず日本でも盛んに議論されるようになってきた。代表的な論文が、レパックとスネル(Lepak & Snell)の「人材アーキテクチャ―人的資源の配分と開発の理論」である。

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内田和成(うちだ かずなり) [早稲田大学大学院商学研究科教授]

東京大学工学部卒、慶應義塾大学経営学修士(MBA)。日本航空を経て、1985年ボストンコンサルティンググループ(BCG)入社。2000年6月から04年12月まで日本代表。09年12月までシニア・アドバイザーを務める。BCG時代はハイテク・情報通信業界、自動車業界幅広い業界で、全社戦略、マーケティング戦略など多岐にわたる分野のコンサルティングを行う。06年4月、早稲田大学院商学研究科教授(現職)。07年4月より早稲田大学ビジネススクール教授。『論点思考』(東洋経済新報社)、『異業種競争戦略』(日本経済新聞出版社)、『スパークする思考』(角川書店)、『仮説思考』(東洋経済新報社)など著書多数。ブログ:「内田和成のビジネスマインド

 

成生達彦(なりう たつひこ) [京都大学大学院経営管理研究部教授]

1952年生まれ。78年横浜国立大学大学院経済学研究科修士課程卒業、81年京都大学大学院経済学研究科博士後期課程修学、89年米国ノ-スカロライナ州立大学大学院卒業(Ph.D.)、81年南山大学経営学部に就職、94年に教授、同年京都大学博士(経済学)、98年京都大学大学院経済学研究科教授、2006年京都大学大学院経営管理研究部教授、2008年~09年京都大学大学院経営管理研究部研究部長。主著に『ミクロ経済学入門』など。

平野光俊(ひらの みつとし) [神戸大学大学院経営学研究科教授]

1980年早稲田大学商学部卒業、94年神戸大学大学院経営学研究科修士課程修了、98年同大学院博士課程修了、博士(経営学)、2002年から同大学院助教授、2006年から現職。経営行動科学学会会長、日本労務学会常任理事、日本労働研究雑誌編集委員。主著に『日本型人事管理』中央経済社。


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好評だった経営学教室の新シリーズ。新たな筆者お二人を迎えて、スタートする。国内市場は成熟化する一方、グローバル化は急速に進展し、新興国の勃興も著しい。もはや、自ら新たな目標を設定し、ビジネスモデルを構築しなくてはいけない時代に突入している。日本企業に漂う閉塞感を突破するには、何がキーとなるのか。著名ビジネススクールの気鋭の教授陣が、リレー形式で問題の所在を指摘し、変革のヒントを提起する。

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