細部を詰めていく作業が
完成へと導く
3月の採寸から約50日。夏野剛さんのスーツがあがってきた。とはいっても、まだ完成ではない。これからセカンドフィッティングを行い、細部を詰めていく作業が残っている。
まず、担当者から仕様についての確認がある。
夏野さんのスーツは、グレーの表地にブラウンの裏地というコンビネーション。表の生地は、ウールベースにモヘアが16%入ったもの。裏地にはジョルジオ アルマーニのサインが入っている。そして、水牛の2ボタン。サイドベンツであった。
袖はこれから調整するので、まだついていない。
夏野さんは、「ピタッとしたサイズ感が、身が引き締まって好きだ」ということだったので、そこを重視してチェックしていくという。
まず、パンツからである。担当者と夏野さんの会話のキャッチボールで進められていく。
裾の長さ、そして、裾はシングルのままでいいのか?ということだ。
「裾はこの長さでちょうどいいと思います。夏物なので、やっぱりシングルが軽やかな感じでいいですね」
ただ、横向きにシルエットを確認して夏野さんが唯一気にしたのが、パンツの太さだった。
「もうちょっと細くてもいいと思うので、すこし詰めていただけますか?」
夏野さんは脹脛の筋肉が発達していることもあり、あまり細くしすぎると乗っかる感じになる。だから、あえてそこまで細くはしていなかった。それでも18.5㎝である。それを1㎝詰めることになった。大丈夫なのだろうか?
でも、そこは百戦錬磨。「膝のあたりで消すイメージで」ということで詰めるようだ。素人感覚では、どう解決するのかまったくわからないが、それはあがってきたときのお楽しみとしよう。
形、長さは決まったので、次は履き心地である。座って、立ってを繰り返す。チェクポイントは腿のあたりである。ここは「何の違和感もない」ということで、このまま行くことになった。
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