ジャパネット・高田明氏、“買い物に興味がない私”が会得した「売る極意」Photo by Kazutoshi Sumitomo

タブレットもスマホも
ジャパネットでは高齢者に大人気

 一昨年頃、デパートやドラッグストアをはじめ、多くの小売店が熱狂していた「爆買い」。日本を訪れる中国人観光客の購買力が日本の小売りを救うという論調をあちこちで見かけた。私のところにも「免税店を作りませんか?」というオファーが何回か来たが、私はいずれもお断りした。

 爆買いはその後、失速し、大きな投資をした企業は回収に苦しんでいると聞く。当時、私が免税店を作らなかった理由は、爆買いが5年も10年も続くとは思えなかったからということもあるが、そもそもまったく興味が持てなかった。日本市場でまだまだやらなきゃならないことが山ほどあるのに、それを差し置いて、海外市場に目を向けるという発想がなかったのだ。

 確かに、少子高齢化は進んでいる。今の人口は約1億2700万人だが、50年後には8800万人になるとの予測もある。しかし、若い世代が減ってお年寄りばかりが増えるから日本市場はもうおしまいだ、と考えるのはあまりにも短絡的ではないだろうか。一見若者向きの商品を、「高齢者の方々が使えば、生活がどんな風に豊かになるだろうか?」という目で見直すことで、新しい市場を創り出すことは可能なのに。

 読者の皆さんは驚くかもしれないが、タブレットやスマホ、ボイスレコーダーなど、いずれも世間では「若者やビジネスマンが使うもの」と思われている商品を、ジャパネットたかたではシニアのお客様がたくさん買ってくださる。