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【クラレ】
同業の倍稼ぐ収益力を支える
独自技術と「量より質」の経営哲学

週刊ダイヤモンド編集部
【第31回】 2011年7月7日
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人工皮革「クラリーノ」の事業化など、かつて繊維の名門として名を馳せたクラレは、繊維産業の衰退に伴い化学主体の企業へと変貌し、いまや業界随一の高収益を誇る。その強さの秘密は何か。

 営業利益率14.6%──。

 合成繊維・化学業界で驚異の高収益を上げている企業がある。クラレだ。同業他社と比較すれば、どれほど同社の収益力が高いかわかるだろう(図①)。

 旭化成や東レ、帝人の営業利益率が6~7%台にとどまっているのに対し、クラレは倍の水準だ。売上高が3632億円と小さいために率が高く出やすい側面はあるが、営業利益の絶対額でも、売上高で倍以上の帝人を上回っている。さらに、図②で示したように、2011年度は2ケタの増益を見込んでおり、その群を抜いた収益力は文句のつけようがない。

 クラレの高収益の秘密はどこにあるのか。

 「当社には他人のやれないことをやる、というDNAが脈々と受け継がれている。それが独自技術による製品開発につながっている」(伊藤文大社長)

 図③で示したように、同社には世界シェアトップの製品群が数多くある。たとえば、液晶パネル用偏光フィルム材料の光学用ポバールフィルムは、なんと世界シェア80%で断トツ。食品包装材やガソリンタンクなどに使われる「エバール」も65%のシェアを誇っている。最近需要が急増しているLEDテレビの反射板用途の「ジェネスタ」に至っては、市場を独占している状態だ。

 同社の売上高に占める世界シェアトップ事業の比率はこの15年で急伸し、10年度にはほぼ半分を占めるまでになっている(図④)。一つひとつの市場はニッチであっても、圧倒的なシェアを握りプライスリーダーとなることで、高収益を上げているのだ。

 ここ数年、どの素材メーカーも、川上における原燃料価格の高騰と、川下における最終製品の低価格化の板挟みに遭っているが、クラレでは、「原燃料価格の上昇分はほとんど価格転嫁できている」(川原崎雄一常務)。強い製品群を持っているからこそ、価格交渉でも優位に立つことができるのである。

 クラレの高収益を支えるのは独自の技術力ばかりではない。量より質を追求する経営方針と、それを担保する仕組みも備えている。

 「倉敷絹織」という創業時の社名が示すように、クラレはもともと繊維の会社だ。ところが、1970~80年代のオイルショック、プラザ合意などにより、原油を材料とし輸出主体でやってきた繊維産業は苦境に追い込まれた。そこでクラレは、繊維で培った技術を生かせる化学事業へと軸足を移していく。その過程で打ち出したのが、量より質を追求する経営方針だった。規模で競合他社に劣る同社が生き残るには、質で勝負するほかなかったのだ。

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